#4 育成のポイントは“走”“攻”“守”(人事部長:野々山様)
Index
- #1 最先端領域・脳科学の産業応用をリード(情報未来研究センター:萩原様)
- #2 持続可能な地域づくりをハンズオンで支援(ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット:矢野様)
- #3 ロボット、先端医療領域のコンサルティングの第一人者(産業戦略グループ:三治様)
- #4 育成のポイントは“走”“攻”“守”(人事部長:野々山様)
- 編集後記
#4 育成のポイントは“走”“攻”“守”(人事部長:野々山様)
CEG 山口 それでは続いては、人事部長の野々山様に採用についてお伺いしたいと思います。
御社では、コンサル経験者から未経験者まで広く採用されていらっしゃると思うのですが、どのような人材育成の体制を敷かれているのか伺ってもよろしいでしょうか。
経営研 野々山 当社に入社する方の8割くらいがコンサル未経験者です。そのため、入社後にしっかりと育成していくことが当社にとっての重要なマターとなります。
育成の体制としては、プロジェクトをやりながらOJTで、というのが1番肝の部分ではあるのですが、研修プログラムも手厚く用意しています。年間の研修プログラムを用意してありまして、汎用的に必要となるような基礎知識、例えばロジカルシンキング、ライティング、リサーチ、インタビュー、アンケート、プレゼンテーション、などを一通り用意しています。1年目の方々には優先的に研修に出ていただいています。
入社のタイミングによっては研修を受けられないこともありますので、その場合に備えてeラーニングの講座も充実させています。
CEG 山口 プログラムは、どのくらいご用意されていらっしゃるのですか?
経営研 野々山 今は講座数は40前後です。今後、もっと増やしていきたいと思っています。
CEG 山口 御社の場合は、OJTでのトレーニングとeラーニングなどの研修プログラムでのトレーニングとですと、どちらの方を重要視されていますか?
経営研 野々山 やはりOJTの方が意義を感じる方が多いので重要視しています。
ただ、とはいえ現場からすると、プロジェクトに入るにあたって、最低限身につけておいてほしいという基礎はありますので、そこを研修でカバーしているという感じです。
CEG 山口 野々山さんから見て、御社のメンバーのみなさんは面倒見の良い方が多いですか?
経営研 野々山 教え好きな人は多いですね。コンサルタントという職業柄、教えることが得意な人も多いですし。
ただ、当社の風土としては、「育ててもらうんだ」という意識よりも、「自分からチャンスを掴み取りにいくぞ」とい感じで、実際にそのような方の方が活躍していますね。
CEG 山口 向上心が高く積極的に学んでいく方は成長が早いですよね。
経営研 野々山 そうですね。あと、当社の制度の特徴的なこととして、プロモーションに関して、このタイトルで何年やったら次に上がれるのが標準というようなガイドラインを設けていないんです。そのため、例えば他の人と比較して自分が遅れているということが、明らかにならないですし、それによって居づらくなるとかはないですね。プロモーションの制限を意識しすぎて焦ることや、単年度の業績に囚われることはないです。
一方で、ガイドラインがないので、1年でも優秀だったらどんどん上がっていきます。実際に、シニアコンサルタントで入社して、1年でマネージャーに昇進し、また1年でシニアマネージャーに上がる人もいます。
実力主義の一面も持ちつつ、色々な個性を持った人たちが長く働けるような環境をつくっています。
CEG 山口 優秀な方はスピード感を持って色々な経験を積みながら昇進していくし、もう少し経験が必要という方は特にアウトになることは無く、その方のペースで進められるということで、いいところ取りな感じですね(笑)。
経営研 野々山 そうですね(笑)。当社の魅力の1つに、自由度が高く、裁量が大きいといったことがあります。チャレンジしたいことがあれば、もちろんプロジェクトをしっかりとこなしたうえということが前提になりますが、その気持ちは押さえつけないですね。
CEG 山口 グループリーダーのみなさんのお話しからもその印象を受けました。
経営研 野々山 そうですね、裁量が大きいということは他のコンサルティングファームから来た方もみなさん言うんですよね。「あ、ここまでもう任せてもらえるんですね」と。だからそれを「え、ここまで私がやらないといけないんですか」という風に感じる人には辛いんですけど(笑)。どんどん新しいことに挑戦して良い経験を積んで成長したいという人には、凄く面白いことをやらせてもらえる環境だと思います。
CEG 山口 その挑戦というのが、チームの立ち上げであったり大学で教鞭をとることであったり、外部へ情報発信を積極的にする等、様々な選択肢があるということですね。
経営研 野々山 その通りです。当社の場合、「走」・「攻」・「守」と言っているのですが、「マーケティング」・「セールス」・「プロダクション」というこの3拍子が揃ったコンサルタントを育成することを目標としています。
通常ですと、「プロダクション」つまり、与えられたプロジェクトをきっちりこなしていくということが若手の場合は100%という感じだと思いますが、当社では、早い時期に「セールス」や「マーケティング」という活動にも若手でもどんどん参加してもらっています。マネージャーやシニアマネージャーになってから、いきなり「さあ今日からセールスしてください」と言ってもなかなかできるものではないですし、若いうちから経験してもらって、早期に3拍子が揃ったコンサルタントになってもらいたい、ということを基本的な考え方としています。
例えば、書籍を若い内に出すということもありますし、セールスにも積極的に携わっているメンバーもいますので、早い段階から自分の名前が世の中に出たり、自分の名前で仕事が取れるといった醍醐味を味わうことが出来ます。
CEG 山口 よく自分の名前で案件取れるようになってからがコンサルタントの醍醐味とも言いますからね。
ただ、中にはデリバリーの方を注力してやりたいという方もいらっしゃいますが、そういった方々の活躍の機会というのはいかがでしょう。
経営研 野々山 それもありますね。基本的には、全員が一律で三拍子揃ってほしいというのはあるのですが、中にはプロダクション中心にやりたいという方や、マネジメントには向いていないけど特定の領域に関してずば抜けているという方もいて活躍しています。たくさん稼げないからもうアウトね、ということは一切無くて、その人それぞれの強みを活かして活躍していただいています。
CEG 山口 御社は、様々なバックグラウンドや志向をお持ちの方に応じた環境のご用意をうまくされていらっしゃいますよね。現状、業績が非常に好調でらっしゃると思いますが、御社がこれから先目指す将来像としては、どのような方向性を見据えてらっしゃるのでしょうか。
経営研 野々山 そうですね、ミッションに掲げているように、新しい社会の姿を構想してともに情報未来を築くことを目指しています。
もちろんクライアントのニーズに幅広く答えて、クライアントの成長に貢献するということは引き続き対応していくのですが、世の中はどんどん変わっていきますので、その一歩先を行く新しいことに挑戦していきたいと考えています。そのため、会社としては新チームの立ち上げに積極的に投資を行っています。
CEG 山口 投資というのは、どのようなことをされているのでしょうか?
経営研 野々山 他のユニットやチームと同じようには、売上や利益を確保することを最初から求めないということです。
CEG 山口 土壌作りの期間をしっかりと取られているということですね。御社がそのように、時代の一歩先の領域に早くから取り組んでいるというのは、昔から力を入れていらっしゃるのでしょうか。
経営研 野々山 そうですね。ここ10年くらいはそういったことに力を入れています。
CEG 山口 ライフバリュークリエーションは時代の一歩先を行って立ち上がっていましたし、今は情報未来研究センターがまさに土壌作り期間中ですよね。
経営研 野々山 そうですね、当社が環境領域を始めたのがもう15年くらい前になりますしね。実際にビジネスが回り始めるまでには時間がかかりましたね。当初は、国も企業もこの環境領域にお金を使うということは一般的ではなかったですから。
CEG 山口 そこに、投資の判断をするという決断力の高さはどこからくるのでしょうか。
経営研 野々山 それはやはり、当時の社長が相当先を見ていたな、と感心します(笑)。 当時は、「何でそういう領域やるんだろうな」という感じでしたからね。
CEG 山口 その御社の先を見据えて投資していくアイデンティティは今も変わらず受け継がれていますか。
経営研 野々山 そうですね、受け継がれています。当社は確信を持ってやるっていうよりは、とりあえずやってみればいいじゃないかと、というところがあります。だから、「そんなものやっちゃだめだ」と芽が摘まれることも少ないですし、判断も早いので、新しい取り組みは非常にやりやすい環境にありますね。
CEG 山口 ついNTTとつくと、日本の大手企業というイメージが先行して、腰が重いようなイメージを持たれる方が多いのですが、真逆ですね。
経営研 野々山 真逆ですね。当社は、親会社のNTTデータとは、べったりではないですし、自由度が大きいので、「それはだめです」と言われるような縛りは何もありません。
一方で、当社がNTTデータと一緒にやりたい時やNTTデータのチャネルをうまく活用したいという時は協力が得られるので、結構いいとこ取りしています(笑)。
CEG 瀧田 いいとこ取りっていいですね(笑)。
経営研 野々山 そうなんです。NTTデータ経営研究所と聞くと、まずシステム系のところを中心にやっているのではないか、それからNTTデータのしがらみがあるのではないか、それから、かなり固い会社なのではないか、といった印象を持たれることが多いのですが、本当に全部違うんですよね。説明会を実施すると、「印象が全然違いました」という人が圧倒的に多いです。
CEG 山口 野々山さんは、NTTデータ経営研究所に非常に長くお勤めでらっしゃいますが、今と昔を比べて、御社に期待されているものとか、クライアントから寄せられる期待値とか、流れの変化といったものはございますでしょうか。
経営研 野々山 これはミッションとも関わるところなのですが、直近の課題を解決するだけではなくて、やはり先を見据えた上でどうしていくべきかというところを期待されていると思います。
クライアントは自社のことは良くご存じなのですが、この先の世の中がどうなっていくかという点については見えない部分もありますし、他業界の動きについてもご存じでないことも多いです。そこで、様々な業界に精通している当社に、未来を見据えた上で、色々と提案してほしいということを期待されています。
それから、もう1つは、以前は戦略を作ることがゴールの仕事も結構あったのですが、今は、戦略を形に落とし込むところも一緒にやってほしいという依頼が増えています。
CEG 山口 その点について、御社は応えられるような体制でいらっしゃいますか?
経営研 野々山 そうですね、その体制は整っていますし実際に行っています。例えば新規事業を始める時に、事業計画を作るだけではなく、必要があれば、子会社設立支援やM&Aの支援もしますし、今度子会社ができたら、マーケティングや営業活動の支援も行ったケースもあります。事業になっていくまでには結構なプロセスがありますが、それを全て一緒にやりましょう、という依頼にも応えています。
CEG 山口 そのプロセスを進めていく過程には、特定のユニットだけでは対応しきれないことっていうのも出てくると思いますが、それはユニット間の連携を密に取って進めていらっしゃるのでしょうか。
経営研 野々山 連携はありますし、年々増えてますね。昔は、連携というほどの連携がなかったのですが、今は、「このテーマだと一緒にやらないと価値が出ないよね、じゃあ、一緒にやろうか」と。例えば、金融機関の店舗開発にニューロを活用する、ということもあります。
CEG 瀧田 それは面白いですね。
経営研 野々山 そういったことを提案できるファームは他にはないと思います。元々その連携をうまく活用して提案するというケースもありますし、案件が出てきたときに「それは一緒にやったらいいよね。環境とライフ・バリュー・クリエイションで一緒にやろうか」というケースもあります。
CEG 山口 その方がクライアントにとっても良いものになりますしね。
CEG 瀧田 戦略策定の部分とそれを実行する部分とでは、コンサルタントに求められる能力は少し違うと思いますが、戦略と実行は別のユニットが行うという流れなのでしょうか?それとも、戦略策定と実行支援も併せて行う形でしょうか。
経営研 野々山 そうですね。確かにおっしゃるように、違う部分はありますよね。ただ、当社の場合は、戦略も実行も同じ人間が行うことが多いです。求められる能力に違う部分はあるのですが、そこも含めて両方とも身につけていけることが基本ですね。
CEG 山口 凄いですね。走攻守揃って戦略から実行まで出来るようになると、ファームでも事業会社でもどこにいっても活躍できそうですね。
経営研 野々山 まさにその通りですね。
CEG 瀧田 かつ、早い段階からマーケティングとセールスも行えるので、初期の段階から万能選手になっていけるということですね。
経営研 野々山 はい。コンサルタント経験だけで今まで来ている人は、やはりどこかで事業会社の経験を積みたいと考える人は多いですよね。
CEG 山口 そうですね、我々にもそういったご相談は多いです(笑)。
経営研 野々山 そうですよね(笑)。そういう志向を持っている人には、かなり実行部分に入り込む案件に入ってみると、事業会社の勤務に近い経験が出来るので好評です。
CEG 山口 今の御社であればそのような経験を積めるプロジェクトは多いですか。
経営研 野々山 そうですね、今後どんどん増えていくことが予想されます。さらにもう一歩踏み込んで、事業を支援するだけではなく、「一緒にリスクを負って下さい」というお誘いもあります。つまりは、当社も出資して一緒に事業会社としてその事業に携わることを求められると。
CEG 山口 その要望にはお応えしていくご予定ですか?
経営研 野々山 そうですね、応えていかなければならないと考えています。出資やコンサルタントの出向といったことは今後増えていくかもしれません。
CEG 瀧田 なかなかそこまで対応しているファームは少ないので非常におもしろいですね。
経営研 野々山 人を出すというのは、ある意味、会社にとっては痛手の部分もあるのですが、事業会社で出来るような経験を積んで、また当社のコンサルタントに戻ってクライアントに還元していただければ、皆にとって良いことなのかなと考えています。
CEG 山口 それは非常に素晴らしいですね。それでは今後、御社へ応募される方、もしくは応募を検討されている方へぜひ一言メッセージをお願い出来ますでしょうか。
経営研 野々山 当社は、経営コンサルタントのプロを目指す方にとっては、非常に良い環境だと思います。
システム系まで含めて対応しているファームですと、どうしてもシステムの設計や開発という部分に大半の時間が取られ、コンサルタントとして経験を積める時間が少ししか取れないと思います。
しかし、当社はコンサルティングしか行っていない会社ですので、この点を多く経験することが出来ます。
また、自分自身のWillがあれば、様々なことにチャレンジできる機会がありますので、「コンサルタントとしてこれがしたい」という想いをお持ちの方には、ぜひチャレンジしていただきたいと思っています。
CEG 山口 貴社が経営コンサルタントのプロを目指す、様々なバックグラウンドを方々が活躍できるチャンスがある素敵な環境であることが大変良く理解できました。本日はどうもありがとうございました。
⇒編集後記
早稲田大学法学部卒業後、アーサーアンダーセン&カンパニー(現アクセンチュア)を経て現職。
アウトソーシング戦略、HRM(ヒューマンリソースマネジメント)を中心とした経営コンサルティングに従事。その後“経営研”の成長に経営サイドとして貢献していくことを志向し、同社の人事、経営企画等を担当する経営管理部門に異動し、現在に至る。