デロイト トーマツ コンサルティング インタビュー
「100年先に続くバリューを、日本から。」をスローガンに掲げ、100年先まで持続可能な社会と企業の創造と発展に貢献する事が真のプロフェッショナルファームだと考えるデロイト トーマツ コンサルティング(DTC)。 日本、そして世界を取り巻く環境が目まぐるしく変化する今日、経営戦略・事業戦略策定などのピュアな戦略のみならず、ルール形成戦略やCSV戦略、イノベーション戦略、デジタル戦略などの新たな切り口から経営課題と社会課題の解決に臨むストラテジーユニットにフォーカスし、執行役員 パートナー 藤井剛様、羽生田慶介様にお話を伺いました。Index
#1 我が国の経済、産業、企業が勝ち残るために必要なことは?
CEG佐藤本日はどうぞよろしくお願い致します。最初に、お二方のご経歴をお伺いできればと思います。
DTC藤井私は新卒でデロイト トーマツ コンサルティング(DTC)に入社し、計十数年に渡り、戦略領域を中心としたコンサルティングをしてきました。本業の傍ら、NPOのパートナーとして社会起業家の支援に数年間従事していた時期もあります。
現在私は、デロイトグローバルのストラテジー部門の日本リーダーとして日本における戦略コンサルティングサービスの展開を担当しているほか、デロイトのビジネスモデル自体のイノベーションをグローバルに扱う活動にも日本リーダーとして従事しています。
いわゆる戦略コンサルティングサービスの中で、私が特に専門的に担当している領域には2つの軸があります。
1つはCSV(クリエイティング・シェアード・バリュー)戦略に括られますが、社会課題解決を軸としたビジネスモデルのイノベーションや、NPO/NGOなどのソーシャルセクターとの連携を通した新たな競争優位の構築という軸です。
もう1つは、イノベーション戦略という軸であり、AI、IoTに代表されるExponential Technologyを活用した新規事業戦略や、第2のシリコンバレーと言われるイスラエルとのオープンイノベーション支援、大企業のイノベーションマネジメント改革などが該当します。
CEG渡辺ありがとうございます。ソーシャルセクターの巻き込みやテクノロジーを用いたイノベーション戦略など、戦略コンサルティングの中に従来にはなかった領域を組み込んでいらっしゃるということですね。たいへん面白そうなテーマで、詳しくお伺いするのが楽しみです。それでは、羽生田さんにもお願いできればと思います。
DTC羽生田私は新卒でまずキヤノン株式会社に入社しました。経営企画部門に5年ほど所属し、中期経営計画や新規事業開発に携わりました。その後、一旦退職して経済産業省に入省し、当時の甘利大臣のもと通商政策や貿易交渉の仕事をしていました。主に担当したのは日本とASEANのFTA交渉です。3年ほど担当した後に、再入社というかたちで1年間だけキヤノンに戻り、ここではM&Aのディールを担当しました。事業会社と省庁の両方で働きましたが、私としては広く世の中に役立つ選択肢を探し、官僚に戻る道とコンサルティングの業界に入る二つの選択肢を手にしました。結果、コンサルティングファームに入ることにしたのです。
CEG渡辺「広く世の中に役立つ」という観点だと、国家公務員、コンサルティングファームでのキャリアはどちらも非常に魅力的ですよね。コンサルティングファームでのキャリアを選択された決め手は何だったのでしょうか。
DTC羽生田国や社会に貢献したい気持ちが強かったからこそ、順序として、再現可能な問題解決力や戦略的思考を身に着けたあとで国の仕事をしたいと考えました。30代前半の若い時期に思う存分働く環境として、コンサルティング業界に魅力を感じました。転職活動の結果、米国系の戦略ファームに入社しました。通信ハイテク分野の担当マネジャーを務め、約5年間、新規事業や海外展開支援などの戦略プロジェクトやM&Aデューディリジェンスなどの幅広いプロジェクトを経験することができました。
CEG渡辺なるほど。成長できる環境という観点で、戦略ファームはとても魅力的ですよね。今までは異業種間のご転職をされてきた羽生田さんですが、戦略ファームからDTCへとコンサル業界内でご転職されたのは、何故なのでしょうか。
DTC羽生田日本のリーディング企業の一つであるキヤノンと戦略コンサルタントの両方の仕事を経験しました。その経験から出た結論は、「ピュアな事業戦略やマーケティング、コスト削減を積み重ねても、我が国の経済、産業、企業は勝ちきれない」というものだったんです。現在の日本に残されている時間を考えると、後ほどお話させていただくもっと新しいツール、旧来型のストラテジーコンサルティングではないツールが日本の経営には必要だと強く思うようになりました。
その点、DTCはフルカバレッジでツールの幅が圧倒的に広い。そして、社長の近藤をはじめとして、国や社会への貢献に対するアスピレーションがある経営陣と巡り会えたのでDTCへの入社を決めました。
CEG渡辺それはとても興味深いお話ですね。この後、DTCでの事業展開について、ぜひ詳しくお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
#2 社会課題を解決しながら、ビジネスに勝つ―DTC流のストラテジーコンサルティングとは?
CEG佐藤御社のストラテジーチームの一つの魅力は、ピュアな戦略に加えて、他ファームではあまり取り扱わない新しい戦略テーマまでを扱う点かと思います。クライアントや社会へ与えるインパクトはどういったものなのでしょうか。そのような観点も含めて、同チームの特徴やプロジェクト内容についてお話いただけますでしょうか。
DTC藤井まず、我々が目指しているのは「次の世代に残る何かをつくる」ことです。当社のオフィスエントランスには「100年先に続くバリューを、日本から。」というスローガンが掲げられていますが、まさにそれです。
これを実現するために、我々は三つの視点を持っています。一つ目はいわゆるコアな経営戦略・事業戦略のプロジェクトです。二つ目が、少し他社とは異なる特徴的なところで、我々が「エッジ」と呼んでいるものです。具体的には、ルール形成戦略やCSV戦略、イノベーション戦略、デジタル戦略などがこれに当たります。三つ目は、コンサルティングのビジネスモデル自体を変えるような取り組みです。たとえば、他社にないデジタルツールを作ってコンサルティングの付加価値を圧倒的に高めたり、サブスクリプション(月額制)でツール自体を継続的にクライアントに提供していくというものです。
CEG渡辺コンサルティングに加えてツールの提供も行うというのは、コンサルティングのビジネスモデルのイノベーションと言えますね。
DTC羽生田私はキヤノンと戦略コンサルティングファームで働き、旧来型の経営戦略論だけでは日本の経済・産業の非連続な強化は難しいと感じました。
もちろん戦略策定のプロジェクトは今後も必要です。ですが、国内、海外ともにコンサルティングファームが提供する戦略支援自体がコモディティになりつつあることも事実です。新たなツールを身に着ける必要が出てきている。私が手掛ける「ルール形成戦略」もそのツールの一つですね。ルール形成は、競争軸の物差しを一気に変えてしまうことが出来ます。
CEG渡辺なるほど。将棋で例えると、コツコツと将棋の腕を磨いて勝つという方法だけではなくて、いきなり将棋盤をひっくり返して勝つ方法もあるということですね(一同笑)。
DTC羽生田まさにそうです。これにより、海外で負けてきた日本企業に対して、新しい評価のフィールドを提供することができるのです。たとえば、日本の省エネ技術を正しく測る基準の作成がそれに当たります。省エネ技術の評価は、実はその計測方法に強く依存しています。最大の出力と最小の出力の差だけを測るのであれば、スリープモードが深い中国製品に軍配が上がることがあります。ですが、年間を通して省エネ性能を測ると、インバータで最適化されている日本製品が一番になったりもします。物差し次第で「一番」は簡単に変わってしまいます。このような「測り方」「ルール形成」で日本企業は海外で負けている例が多くあるのです。
CEG渡辺それはとてももったいないことですね。従来、製品の魅力を伝えたり認知を図ったりするのはマーケティングの領域で扱われていましたが、現在では「物差しを変える」という方法もあるのですね。
DTC藤井従来型の事業戦略だけでは海外市場で苦戦する日本企業に、我々が支援する場合のアプローチ方法は、大きく二つあります。一つは今話に挙がったルール形成により勝てる環境を自ら創り出していくという方法。もう一つは、現地の社会課題にビジネスモデルを通してアプローチすることで現地に深く根差したビジネスモデルのイノベーションを図っていく方法です。我々は、戦略コンサルティングにおけるパートナーという立場で、国連をはじめとした国際機関や国際NGOとのネットワークを作っているユニークなファームでもあります。デロイトのネットワークにある現地政府とのパイプも活かして、自社の事業としてだけでなく現地の課題解決にも有効なビジネスモデルを「トライセクター」(ビジネス、パブリック、ソーシャルの3つのセクター)で巻き込みながら構築していくことを目指しています。
CEG渡辺新興国へ進出する際に、外資系企業が時々採る手法ですね。
DTC藤井おっしゃるとおりです。例えばサムスンは、アフリカで1兆円規模のビジネスを既に作っています。歴史的には日本の製品の方が早くアフリカ市場に参入していたものの、圧倒的なポジションをサムスンが築けた背景には、単に彼らの製品を売るだけではなく、現地政府と強力なネットワークを築き、現地の社会課題解決にも投資をしてきた事実があります。人材育成や雇用環境に関して大きな課題を抱えるアフリカで、主要地域の現地政府や大学とともにエレクトロニクス産業に従事しうる人材育成に長年投資をしてきています。これは単なるCSRではなく、実際にサムスン製品を販売しアフターマーケットでサービスを担当する人材を確保することを狙った中長期的な大戦略だったわけです。
CEG渡辺企業の戦略としては、開拓した市場でのシェアを確保できるので効果的です。そのうえ、その国の教育水準が上がり、結果的に社会課題の解決、産業創出の機会にもなりますよね。
DTC羽生田ルール形成からイノベーションが引き起こされ、それが社会課題の解決に繋がる場合もあります。水不足の改善が良い例です。水不足の地域において、水の使用量が多い企業に対して税率を上げる、罰金を課すというようなルールができたとします。これは、企業に対して水をあまり使わなくてすむような製品の開発を促します。製造業の洗浄工程で水が大量に使われる、あるいは牛1頭を育てるのに水が何トンも必要だというような状況に対して、改善のメスが入るわけです。これこそがイノベーションなのです。
CEG渡辺企業のイノベーションによって、水不足が解消に向かえば、農業が発展し、地域の発展につながっていくわけですね。
DTC羽生田まさにそうです。我々はビジネスコンサルタントですから、この過程においてビジネスモデルにイノベーションを起こします。そもそも、本来なぜ政府や公共機関が社会課題解決を担ってきたかと言えば、その社会課題の解決プロセスにおいて、これまでのやりかたでは誰もマネタイズできないからです。そこに我々がクライアントとともに新たなビジネスモデルを導入することで、新たな経済合理性を生み出す。これが、我々が目指している「ストラテジー」です。これをストラテジーと呼ばずして何をストラテジーと呼ぶのかというのが我々の思いですね。
CEG渡辺社会課題の解決にむけてパブリックセクターやソーシャルセクターを巻き込む。そして、その仕掛けによって、クライアント企業のビジネスに長期にわたる大きな価値をもたらす。まさに従来の戦略コンサルティングの枠を超えたストラテジーですね。
DTC藤井我々はCSRの延長ではない「戦略としてのCSV」を長年提唱しています。「社会課題を解決しながら、ビジネスでも競争優位に立つ」ということです。CSVもようやく日本で浸透し始めましたが、クライアントがCSVを目指していても、残念ながら実現のためのソリューションやケイパビリティが足りない場合が少なくありません。そこで私たちは、パブリックセクターやソーシャルセクターとのパートナーシップや、ルール形成戦略、イノベーション戦略など、DTCのストラテジーとして長年蓄積した様々なソリューションを組み合わせて提供することで、クライアントの長期的な競争優位の構築に貢献するコンサルティングをしていきたいと思っています。
DTC羽生田旧来型の競争戦略ツールの範疇で考えている人からすれば、このようなアプローチは一見“反則技”とも思えるかもしれません。ですが、グローバルな競争で本当に勝つためにはこれをやるべきで、実際に世界はそうやって戦っているわけです。コンサルタント経験者の方にとってこのようなツールがあることは大きな魅力となると思います。
他方で、戦略コンサルタントとして成長していくためには、そういう特殊な必殺技だけを目指すのではなくて、ちゃんと足腰を鍛えていくことも大切ですし、もちろんそこはしっかりと取り組んでいます。全てのプロジェクトがエッジの先端部分のテーマというわけではありません。戦略コンサルタントとして基本的なスキルが身についている前提での尖ったテーマへの着手ですので、若いうちにそういった力を身に着けたいというコンサルタント未経験者の方にも、DTCは良い環境なんじゃないかかと思います。
CEG渡辺社会課題を解決したいという想いがありながら、マネタイズができずにCSRにとどまっている状況が多い中、短期的なマネタイズも含めてビジネスモデルを変えていくことで、それを可能にする。非常に社会貢献性が高いコンサルティングですよね。
#3 ここまで進んでいる!“デジタルツール”によるコンサルビジネスの進化
CEG佐藤最近、我々がコンサルティング業界を見ていて痛感するのが、総合系ファームのデジタル対応が急速に拡大していることです。まさに短期的に効果が現れる経営改革を行っていくツールとして、御社も非常に積極的に取り組んでいらっしゃるかと思います。ストラテジーチームとしてのデジタルへの関わり方はいかがでしょうか。
DTC藤井ストラテジーではデジタルを2つの観点で扱っています。1つはクライアントのデジタル戦略や、デジタル技術を活用したイノベーション戦略のサポート。デジタル技術を活用して企業のバリューチェーンを再構築していくプロジェクトや、シリコンバレー・イスラエルなどで産まれるスタートアップとのオープンイノベーション戦略の策定・実行支援には多くのプロジェクト実績があり、デロイトUSやデロイトイスラエルのメンバーとも頻繁にプロジェクトを一緒にやっています。デロイトはシリコンバレーにあるSingularity Universityともパートナーシップを結んでおり、彼らが提唱するAIやIoTなどの「Exponential Technology」のコアな先端情報やネットワークも得られるポジションにあります。
もう1つは、我々自身がデジタル技術を使ってコンサルティングのビジネスモデルを改革していこうというものです。こちらは後で詳しく紹介しますが、こういうところも、我々のチームならではの特徴だと思います。
CEG渡辺なるほど。デジタルツールを自前で開発するところまで取り組んでいらっしゃるのですね。具体的にはどのようなツールなのでしょうか。
DTC藤井例えば、「TechHarbor」と言う世界のスタートアップ企業の情報を1つに集約し様々な形で分析できるプラットフォームツールを開発しました。我々のイノベーション戦略やデジタル戦略のコンサルティングサービスを強力に差別化するものと位置づけています。
最近、オープンイノベーションの名の下にスタートアップとの連携を模索する企業が増えていますが、まだ日本企業のリテラシーは高くなく上手くやっている企業は極めて少ないのが現実です。
その理由はいくつかありますが、戦略を立てる上での情報ソースが「シリコンバレー偏重」「(限定的なディールフローの)ベンチャーキャピタル偏重」である点が挙げられます。世界的に見ると、イスラエルやヨーロッパ、中国、東南アジアなど、いろいろな地域・様々な領域で素晴らしいスタートアップが出てきていますが、それをマクロに俯瞰でき、かつ個別のスタートアップの情報も得られるツールは、実は世の中に存在しなかったのです。
CEG渡辺世界中に散らばる情報を一つにまとめて提供できるツールを活用できるのは、クライアント企業にとって非常にありがたいですよね。まさに御社のグローバルかつ幅広いネットワークを持つという強みを活かしての開発ということなのですね。
DTC藤井はい。今はシリコンバレーのあるAIスタートアップとも連携し、AIを活用した分析ツールも導入しつつあります。経営戦略・事業戦略を立案する際の外部環境調査の一項目として、グローバルかつクロスインダストリーに技術やビジネスモデルの先端動向を把握することはもはや不可欠となっていますが、これを、アドホックな調査ではなく、1つのデータベースを持ち専門的な情報を蓄積しているファームは他にありません。我々は日本企業に対して、スタートアップから産まれる先端的な技術やビジネスモデルのトレンドを定期的におさえるとともに、重要なスタートアップとのアライアンス戦略の実行を迅速に行う体制を整えてくことの重要性を提唱しています。日本を代表する製造業においてもこのような取り組みはまだ十分でないのが実情です。
CEG渡辺なるほど。デジタルの力はやはり強力ですね。今や、効果的に経営を行うには無くてはならないツールとなりつつあります。
DTC羽生田別の例として、「Trade Compass®」という通商Webサービスを開発しました。これは簡単に言うと、FTA(自由貿易協定)活用のためのツールです。例えば、トランプ大統領がメキシコへの規制を強化した場合、日本企業として、メキシコの工場の稼働率を下げないための代替輸出先はどこがよいのかといったことを最適化するツールです。FTAの協定内容を全てデジタル化して、シミュレーション機能をつけたものですね。現在はトランプショックやBrexit(英国のEU離脱)などへの対応を行う際に非常に重宝されています。
CEG渡辺それもとても面白いですね。そのようなツールがあれば、各社の担当部署が膨大な協定内容を読み込む作業や最適な打ち手を考案する作業が大幅に短縮されるわけですね。多くの企業が助かります。
DTC羽生田そうなんです。協定そのものも、英語で1万行というボリュームですから、そういう意味では労働集約の肩代わりという要素もありますね。一方、機能の面から言うと、これは我々が非常に重要視しているレギュラトリーに、デジタルをかけ合わせたものです。まさに、我々の得意領域なのです。現に、多くのお客様に採用いただいています。政府にも採用されていまして、経済産業省が作った日本のTPP活用ツールがあるのですが、これは我々のTrade Compass®をエンジンとして使っているんです。
CEG佐藤政府でも活用されているのですね。通常のコンサルティングファームではなかなか取り組めないダイナミックな大きな規模の仕事ですね。
DTC羽生田そうなんです。いま挙げた2つの取り組みは、我々のチームが中心となって開発しており、デロイト各国が注目し活用を始めつつあります。デロイトは24.5万人の社員がいるグローバルファームですが、日本オフィスのストラテジーチーム発で、グローバルで通用するこのようなツールを作っています。
CEG渡辺コンサルティングの枠にとどまらず、世の中に対して新しい仕掛けをしたいという方にはとても良い環境ですね。
最近、優秀な方の中には、社会変革に関心を持ち、コンサルティングファームに行くかスタートアップに行くかで迷う方も増えてきています。コンサルティングファームにいながら、事業を立ち上げる機会もある。しかも、デロイトグループの豊富なリソースを使いながら、社会課題の解決をリードできるというのは、とても良い環境ですね
DTC藤井おっしゃるとおりだと思います。こういったツールの開発は、本当にベンチャーのような雰囲気でやっていますし、実際にスタートアップとも協働しています。
従来コンサルティングファームといえば、守秘義務もあり、どちらかといえばクローズなカルチャーがありましたが、我々はオープンに外部と連携し、コンサルティングサービス自体をオープンイノベーションしていくことを目指しています。このような視座に共感してくれる方は大歓迎です。
#4 半数以上が女性!働きやすいDTCストラテジーの職場環境
CEG佐藤コンサルティング未経験の方は、コンサルファームで頑張って力をつけていきたいとお考えですが、一方で「高度な業務について行けないのではないか」と心配される方も少なくありません。御社はコンサルタント経験者の方はもちろん、未経験の方も採用されていますが、割合としてはどれくらいなのでしょうか。
DTC藤井半分くらいはコンサルタント未経験で入社してきた者ですね。
CEG佐藤それであれば、未経験の方も安心して力をつけていただけそうですね。
DTC藤井バックグラウンドも、事業会社に限らず、官公庁、起業経験者やベンチャーキャピタル、NPO/NGO出身の者もいますね。事業会社といっても、経営企画系の者もいれば、全く違う技術系の者もいます。
CEG渡辺なるほど。特に必須の経験があるというわけではなく、幅広く未経験者を採用しているということでしょうか。
DTC藤井そうですね。「100年後にも残る何かをつくる」や「社会課題を解決しつつ、同時に自己実現をはかる」というような我々のビジョンに共感してくださる方にジョインいただきたいと思っています。
CEG渡辺外国籍の方もいらっしゃるのでしょうか。
DTC藤井多いです。2割から3割は外国籍のコンサルタントになってきています。国籍は様々で、米国、フランス、イタリア、ロシア、韓国、中国など多岐に渡ります。
CEG渡辺かなり様々な国の方がいらっしゃいますね。応募にあたって英語能力は必須とされていませんが、やはりグローバルな環境なのですね。
DTC藤井そうですね。第1に求めるのは戦略コンサルタントとしての資質であり、流暢な英語力を必須にはしていません。ただ全体で見ると英語を苦にせずグローバルプロジェクトに従事できる者も一定以上の割合でおりますし、実際、英語ができたほうが、デロイト24.5万人のネットワークをレバレッジでき、関わることのできるプロジェクトの幅が圧倒的に広くなるのは事実ですね。従って、このような環境を活かして、苦手意識なく積極的に自身の英語スキルを高めようとしている方であれば歓迎しています。
CEG渡辺海外駐在等のチャンスもあるのでしょうか。
DTC羽生田クライアントとともにDTC自身も海外展開していますので、クライアントのグローバル展開に伴い海外に赴任する例がありますね。アジアへの赴任が多いですが、北米やヨーロッパに行くこともあります。
CEG佐藤海外駐在をご希望の方にも、非常に魅力的ですね。
DTC藤井あともう1つの特徴は、おそらくコンサルティングファームでは珍しいのではないかと思いますが、我々のチームは女性の数が男性にせまるほど多いのです。
CEG渡辺それはものすごく珍しいですね。他社では聞いたことがありませんね。
DTC藤井女性も働きやすい環境を作ろうしていますので、社内の女性が希望して我々のチームに来てくれるということもよくあります。未経験の方の場合、当然、事業会社と比べると少し働き方が変わるのでは間違いありませんが、ワークライフバランスにも力を入れており、安心していただけるのではないかと思っています。
CEG渡辺確かに最近、若い方を中心にワークライフバランスを気にされる方も多くなっていますが、そういった方にもぜひ挑戦してほしいですね。羽生田さんは外資戦略ファームとDTCの両方をご経験されているわけですが、働き方の差はどのようにお感じでしょうか。
DTC羽生田私自身の労働時間としては、以前在籍していた戦略ファーム時代よりも短くなっています。これはマネジャーからパートナーへと立場が変わったということで価値の出し方が変わっていることも関係していますが、以前の私と同じ立場のDTCストラテジーの者がどうかと考えてみると、やはり労働時間は長くありません。もちろん、クライアントに最大の価値を提供するためにタフな環境が続くことがあることも事実です。ですが我々は、他ファームでもできることをより高度に、という思想よりも、他ファームでは出せない視点や手にできないツールを提供することに重きを置いています。そのため、DTC独自の経験が積み上がり、結果として、インサイトに辿り着くまでのスピードが速いということも理由の一つです。
CEG渡辺なるほど。御社ならではの強みは、働き方にも良いインパクトがあるのですね。一方で、コンサル経験者の場合に懸念点となりやすいのが年収水準です。このあたりはいかがでしょうか。
DTC羽生田他のコンサルティングファームと比べて遜色ないと考えていただいて問題ありません。外資戦略ファームからでも、年収を上げて移ってきていただく場合もあります。
CEG渡辺昨今、総合ファームの年収水準は上がっていますよね。ポストコンサルタントの方々も大変安心されると思います。では最後に、お二人から、DTCストラテジーチームに興味をお持ちの方にメッセージをいただけますでしょうか。
DTC羽生田やはりコンサルタントはハードな仕事です。せっかくそういった仕事をするのであれば、私がチームとしてやりたいのは、「次の世代に残るものを作る」ということです。言い方を変えれば、DTCのスローガン「100年先に続くバリューを、日本から。」です。
日本ないしは世界をより良くして次の世代に渡すという概念でもいいし、今輝くものを次の世代でも輝かせる、あるいは今はまだ輝いてないものを次の世代に輝かせるというものでも良いでしょう。せっかくコンサルティングをやるのであれば、次の世代に残る仕事をしたい!とお考えの方がいましたら、我々のフィールドは最高だと思います。
DTC藤井従来の型にはまった「経営コンサルタント」をイメージして、コンサルタントになりたい、コンサルタントとして大成したいという目標を持つことも大事ですが、それよりもむしろ、コンサルタントという立場で社会に対してXXXがやりたい、XXXを世の中に問いたい、という“WILL”を持っている方のほうが、DTCストラテジーというフィールドをよりうまく活用いただけると思います。ポストコンサルで、事業会社やスタートアップなどを考えておられる方にもフィットする土壌があると思います。
求める人材のベースとなるのはやはり「知的好奇心」ですね。知的好奇心に溢れている人ほど、DTCストラテジーの環境は良い場になるんじゃないかなと思います。
CEG渡辺ありがとうございます。本日は、お忙しいところありがとうございました。
一同ありがとうございました。
編集後記
日本、そして世界を取り巻く環境が目まぐるしく変化する今日、コンサルティング業界にも新しいサービスの在り方が求められています。
そのような中、DTCストラテジーは、全社戦略策定などのピュア戦略のみならず、ルール形成やCSV、イノベーションなどの新たな切り口から経営課題と社会課題の同時解決に臨むという画期的なコンサルティングを展開しています。さらに、デジタルツールを活用した新しいコンサルビジネスを展開しており、グローバル化する現代の企業の要望に応える体制をいち早く整えています。これらのサービスは、日本企業が海外で勝つうえで大きな価値をもたらすことと思います。
また、コンサルタント経験者のみならずコンサルタント未経験者にも安心して参画していただける職場環境が整えられています。チームの半数以上を女性が占めるというのも、コンサルティング業界では非常に珍しいことです。
藤井様、羽生田様、貴重なお話ありがとうございました。
経済産業省にてアジア各国との経済連携(FTA・EPA)交渉に従事したのち、米国系戦略コンサルティングファームにて経営戦略、事業戦略、新規事業開発、M&Aデューデリジェンスのプロジェクトを数多くリード。企業競争力や収益力に直結するルール(規制・標準)を梃子にする戦略策定、渉外支援に取り組んでいる。共著にて「最強のシナリオプランニング」執筆、その他メディアへの寄稿、識者コメント、セミナー講演多数。
電機、自動車、航空、消費財、ヘルスケアなど幅広い業種の日本企業において、「成長創出」「イノベーション」を基軸に、成長戦略の策定や新規事業開発、海外市場展開、組織・オペレーション改革等のコンサルティングに従事。社会課題を起点にした新事業創造や、地方自治体・複数企業を核とした地域産業創造に多くの経験を有する。 主な著書に「Creating Shared Value : CSV時代のイノベーション戦略」。その他著書、メディアへの寄稿、セミナー講演多数。