エムスリー M3, Inc.
エムスリー HPより
企業について
エムスリー株式会社は、医療従事者や医療関係企業、医療施設などにオンライン上で各種医療関連サービスを提供する企業である。
マッキンゼー出身で、現在も代表取締役を務める谷村格氏が2000年に設立した。
谷村氏はマッキンゼー在籍時にヘルスケア領域で驚異的な成果を上げ、業界の内外で広くその名を知られたほどの人物であった。その手腕と経験とを生かして、医療業界改革のために創立したのがエムスリーである。
エムスリーはソニー株式会社の関係会社であり、設立当初の社名はソネット・エムスリーであった。設立からわずか4年後の2004年に東京証券取引所マザーズに上場し、2007年には東京証券取引所第一部に指定替えをした。創業以来急成長を続けており、ベンチャービジネスの成功例として取り上げられることも多い。2010年、現在のエムスリー株式会社に社名を変更。社名は「医療(Medicine)」「メディア(Media)」「変容(Metamorphosis)」の3つのMから取られている。
エムスリーが運営する代表的なサイトが、日本最大級の医療従事者専用の会員制サイト「m3.com」である。会員数は20万人以上、対象も医師、歯科医師、薬剤師、看護師、医学生、その他医療従事者と幅広く、最新の医療ニュースや海外の論文、データベース、医師同士の意見交換のための掲示板、転職情報、開業準備情報などまでを網羅的に提供している、医療ポータルサイトである。
「m3.com」の中でも中核をなしているのは、MR(Medical Representative:医薬情報担当者)が医者に対してマーケティングできる、第三者的な共通プラットフォームの「MR君」である。
「MR君」はコストパフォーマンスにも優れ、同等のビジネスモデルを展開する事業者がいないこともあって、エムスリーの収益の8割を稼ぐサービスとなっている。
海外でもまだこのような医師と製薬関係者とをニュートラルに繋ぐプラットフォームが存在していなかったため、海外でも高い評価を得て海外進出も進んでいる。
エムスリーが運営している各種医療サイトについては、【サービス】の欄を参照。
またその他のサービス展開として、「m3.com」上での広告・プロモーション支援、海外市場マーケティング支援、大規模臨床試験サービス、治験支援サービス、医療従事者対象の各種リサーチ、診療所向けのオンライン予約システムなども手がけている。
海外には米国、英国、韓国に子会社があり、2013年からは中国での事業も開始。
北京に子会社を置いている。
エムスリーの理念
「インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を一人でも増やし、不必要な医療コストを一円でも減らすこと」
ーーそれがエムスリーの願いであり、事業の目的でもあります。
エムスリーの沿革
以下に同社の主な沿革を記載する。
- 2000年
- ソネット・エムスリーとして会社を設立
- 2002年
- 医療情報サイト「WebMD Japan」をウェブエムディ株式会社から引き継ぎ、後に「so-net m3.com」に名称を変更
- 2003年
- 医療情報サイト「MediPro/MyMedipro」をソニーコミュニケーションネットワーク株式会社(現 ソネットエンタテイメント株式会社)から営業譲渡
「MyMedipro」と「so-net m3.com」を統合、医療専門サイト「m3.com」の運営を開始 - 2004年
- 医師向け求人求職支援サービス「m3.com CAREER」提供開始
東京証券取引所マザーズ市場上場 - 2005年
- 韓国のMedi C&C Co.,Ltd.を子会社化
- 2006年
- 米国のMDLinx, Inc.を子会社化
- 2007年
- 東京証券取引所第一部に指定替え
- 2008年
- アイチケット株式会社を子会社化
- 2009年
- So-net M3 USA Corporation が、MDLinx, Inc.を吸収合併
メビックス株式会社を子会社化
エムスリーキャリア株式会社を設立 - 2010年
- 現在のエムスリー株式会社に商号を変更
- 2011年
- 英国のDoctors.net.uk Limitedを子会社化
- 2012年
- 株式会社MICメディカルを子会社化
株式会社シィ・エム・エスを子会社化 - 2013年
- 中国での事業開始
- 2014年
- 株式会社メディサイエンスプラニングを子会社化
- 2016年
- インドにて事業をスタート
- 2016年
- フランスの医薬品情報企業、Vidal Groupを子会社化。同社が事業を展開していたフランス、ドイツ、スペインでの事業を開始。
- 2017年
- 北欧最大の医師調査パネルQQFSを子会社化
- 2018年
- Wake Research(米)を子会社化、治験事業に参入
エムスリーのサービス
ファンクション
- インターネットを利用した医療関連
運営している医療サイト
- m3.com:エムスリー社を代表する会員制の医療ポータルサイト
- エムスリーキャリアエージェント:医師向けの転職支援サービスサイト
- 薬キャリエージェント::薬剤師向け転職支援サービスサイト
- MDLinx:アメリカの医療従事者向けに、英語で発信される医療情報サービスサイト
- MEDI:GATE:韓国の医療従事者向けに、韓国語で発信される医療情報サービスサイト
- AskDoctors:身体や病気の事などについて、医師に相談できる一般向けのサイト
エムスリーの求める人物像
エムスリーは個人の成長と会社の発展をリンクさせて、社員の活力や創造性、チャレンジを会社の発展、業容拡大の原動力にしたいと考えている。
したがって求められているのは、現状に満足せず、ビジネスプロセスを改善していくクリエイティブな発想と、高いプロ意識を持った者、という人物像である。エムスリーのビジネス基盤を生かして、独創的なサービスに挑むチャレンジ精神を持って、専門性やスキルを高めながら、自分の成長によって会社も成長させる、といった意欲も強く求められている。
またエムスリーは医療系の業界に特化したサービスを提供している会社ではあるが、必ずしも医療業界や製薬業界などのキャリアが必須ではない。
知識は後からでも身につけることができる。
むしろ人としての誠実さや、主体性をもって行動できる当事者意識、コミュニケーション能力、ビジネスのセンスなどを重視する、と言われている。