日本マイクロソフト Microsoft Japan Co., Ltd.
日本マイクロソフト HPより
企業について
パーソナルコンピューターを全世界に普及させ、IT社会の到来に最も多大な貢献をした企業の一つであり、言うまでもなく世界最大規模のコンピューター・ソフトウェア会社である。
設立は1975年。本社所在地はアメリカ合衆国ワシントン州レドモンド。2011年11月現在で世界各地に子会社が84社あり、日本では1986年に日本マイクロソフト株式会社が設立された(設立当時の名称はマイクロソフト株式会社)。
設立のきっかけは、1975年にビル・ゲイツとポール・アレンが、手続き型プログラミング言語、BACIS(ベーシック)を実行・解釈するプログラム、インタプリタを開発・販売し成功を収めたことであった。
その後80年代初頭にパーソナルコンピューター向けのOS、MS-DOSにより地歩を確立。グラフィカルなインターフェースで操作可能なWindowsの開発に取り組み、93年に発売されたWindows3.1が爆発的なヒット。
95年に発売された改良型のWindows95は、発売から4日で全世界に400万本が出荷され、1999年には販売総数が1億9300万本にまで達し、世界中のオフィスや家庭にPCを普及させる原動力となった。
Windowsはその後も現在に至るまでバージョン・アップを繰り返し、世界中で大きなシェアを誇っている。
またビジネス用アプリケーションMS OfficeシリーズもWindowsと共に広く普及、この種のビジネス系ソフトのデファクト・スタンダードの地位を獲得している。
2001年にはゲーム業界に参入し、Xboxを発売。PC用入力デバイス以外の製品による「ハードウェアメーカーとしてのマイクロソフト」を世界に大きくアピールした。
さらに2012年にはWindows 8 / Windows RTを搭載した初のタブレット端末、Microsoft Surfaceを発表。iPadやKindleなどの登場で2011年より拡大していたタブレット市場に参入した。
Surfaceはソフトウェアとハードウェアを統合したひとつのパッケージ商品であり、PCハードウェアと直接競合する製品をマイクロソフト自らが開発・製造・販売するのはこれまでなかったことである。従来の「箱はPCメーカー、中身がマイクロソフト」という暗黙の棲み分けを打破し、PCメーカーとの関係性も変えうる出来事としても注目を集めた。
マイクロソフトは他にもソフトウェアサービスやサーバー事業、オンラインサービスなど広範な分野をカバーし、現在は主に以下の5つのビジネス部門に集約し、事業を展開をしている。
- Windows &Windows Live 部門(主にWindows製品全般とWindows Liveによるオンラインサービスなど)
- マイクロソフト ビジネス部門(Microsoft Officeなど)
- サーバー&ツール部門(Windows Serverを始めとするサーバー製品、サービス、ソリューション)
- オンラインサービス部門(オンライン広告プラットフォームや、Bing, MSNポータルなどの情報サービス)
- エンターテイメント&デバイス部門(Xboxなどのビデオゲームや、モバイルデバイスなど)
日本マイクロソフト株式会社は、おもに製品の営業やマーケティング、サポートなどを手がけている。かつては都内4社に分散していたが、2011年に品川の本社に統合された。大手町にテクノロジーセンターが、調布に技術センターが置かれている。
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代表者代表取締役 社長 津坂 美樹
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設立1986年2月
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所在地東京都港区港南2-16-3 品川グランドセントラルタワー
日本マイクロソフトの理念
以下に、同社の理念を引く。
Our Mission
地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする
マイクロソフトは、インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ時代のデジタルトランスフォーメーションを可能にします。「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」を企業ミッションとしています。
Culture
地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする。
そんな想いが常に私たちをつき動かしチャレンジし続ける原動力となっています。
マイクロソフトでは社員一人ひとりが自分の仕事に意味ややりがいを持ち、自分らしいスタイルで活躍することで世界に対し良い変化を与えられると信じています。Growth Mindset(成長する考え方)
様々なことに好奇心を持ち、学び続けることができる環境が整っています。疑問があったらすぐに質問し、意見を出し合い協力し合うことでより良いものが生まれます。現状に満足せず常に挑戦し失敗や間違いから学ぶことで、新しい解決策やアイディアを常に生み出し続けています。
Customer Obsessed(お客様に寄り添う)
常にお客様の更なる発展の為に貢献したいということを第一に、お客様に寄り添い、話に耳を傾け、そこから学ぶという姿勢を忘れないことで、ただ単にお客様に聞かれたことに対する解決方法を提示するだけではなく、お客様の期待を超える新しい価値の創造を目指しています。
Diversity and Inclusion(ダイバーシティ & インクルージョン)
マイクロソフトは、人種、国籍、性別、年齢、障碍、性的指向、性同一性、価値観、働き方などの多様性を認め、尊重し、それぞれの社員がのびのびと力を発揮できるような場所を提供することで、より良いアイディアが生まれ商品開発につながりお客様をより幸せにできると考えています。
One Microsoft(ワン・マイクロソフト)
私達は誰一人として同じではない個々がーつの使命のもと集まったグローバルな家族です。十人十色のバックグラウンドを持つ個々が共に働き、お互いのアイディアを出し合いその力を結集することでマイクロソフトにさらなる進化をもたらし、よりお客様や世界に貢献できると考えています。
Making a Difference(世界を変える)
マイクロソフトでは世界を変える最新のテクノロジーに触れることができる環境が整っています。それぞれの強みを持った社員が同じ方向を向きその目的を達成するために何が必要か、どうすれば達成できるかを理解し手を取り合うことで、世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すことができると信じています。常に成長と進化を続けるマイクロソフトは、共に成長を望む聡明でクリエイティブな新たな仲間を探し続けています。
https://www.microsoft.com/ja-jp/mscorp/mid-career/cultureより引用
日本マイクロソフトの沿革
以下に同社の主な沿革を記載する。
- 1975年
- ビル・ゲイツとポール・アレンがマイクロソフト コーポレーションを設立。
- 1978年
- 極東の販売代理店契約を、株式会社アスキーと締結。
- 1981年
- マイクロソフト コーポレーションが法人化。
- 1986年
- 日本でマイクロソフト株式会社を設立。
- 1993年
- Windows3.1日本語版を発売。
- 1995年
- Windows95日本語版を発売。
- 1998年
- スティーブ・バルマーが社長に就任。Windows98日本語版を発売。
- 2000年
- ビル・ゲイツが会長兼チーフソフトウェアアーキテクトに就任。
- 2001年
- Windows XP日本語版発売。
- 2002年
- Xbox、日本で発売開始。
- 2006年
- ビル・ゲイツが2008年7月に経営の第一線から退く、と発表。
- 2007年
- Windows Vistaを世界で同時発売。
- 2009年
- マイクロソフト大手町テクノロジーセンターを開設。Windows7発売。
- 2011年
- 「日本マイクロソフト株式会社」に社名変更。品川本社オフィスを開設し、都内のオフィスを統合。
- 2012年
- Windows8発売。同日にWindows RTを搭載した初のタブレット端末、Microsoft Surfaceも発売。PCハードウェア市場へ参入。
日本マイクロソフトのサービス
ファンクション
- コンピュータソフトウェアおよびハードウェア製品の開発・販売
- アプリケーションサービス
- クラウドサービス
- 広告戦略/マーケティング
日本マイクロソフトの求める人物像
文字通り世界中で企業活動を展開し、コンピューターを利用するあらゆる業種、サービスに関わり合うマイクロソフトは、企業ミッションとしても「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること」を掲げており、求める人材もこのミッションに共鳴、完遂できる者であることをまず第一の条件としている。
人物像については、コミュニケーション能力の高さと、マイクロソフト全社員が持つべき6つの価値観、Microsoft Value(誠実で正直、オープンで、相手に敬意を表する、大きな課題に対しても果敢に挑戦し、最後までやり抜く、お客様、パートナー様、技術に対する情熱をもつ、自らの言葉とコミットメントに責任を持って何事にも取り組む、自分に厳しく、自らの向上に努める)を共有できる者、とされている。
求められる職種も多岐に渡っており、SE、コンサルタント、テクニカルアカウントマネージャー、技術サポートエンジニア、ソフトウェア開発エンジニア、営業などの他、MBAホルダーを対象にマーケティング部門やファイナンス部門の人材も求められている。
日本マイクロソフトでのキャリアパス
キャリアパスに関して、マイクロソフトは社員の自由裁量に任せ、非常に幅広く多彩な選択肢を用意し、社員自身が自分の望むキャリアパスを進める体制を整えている。
スペシャリストを目指して特定の分野を極めることも、ゼネラリストとして複数の分野にチャレンジすることもできる。
世界各地に拠点を持つ強みを活かし、海外への異動も希望できる。
また部下を持たずに専門分野に専念するスペシャリストも、マネージャーと等しく公平に評価され、マネージャーを経ずとも昇進可能とされており、どちらの選択肢にもシニア層のポジションまでが準備されている。
社内異動についても、オープンな社内公募制度を設け、およそ1割の社員がこの制度により希望部署への異動を果たしている。
また全職種に対して求められる成果が明示されており、異動を考慮する際、希望職種に必要なスキルを把握することができる。
そのためスキル習得のためのスキルアッププランを組み立てることが容易であり、自由なキャリアパス構築のために活用されている。
日本マイクロソフトのトレーニング
グローバルに対応可能なトレーニングシステム
マイクロソフトは人材育成制度に対し、非常に真摯な取り組みを行っている。
会社の理念、カルチャーを”DNA”として、世代も国境も超えた地球上の全社員に浸透、継承させようとしている。
主に新入社員を対象とした、一般的なビジネス研修やコミュニケーションスキルの研修(プレゼンテーション、プロジェクト・ラーニング、プロジェクト・リーディング、ミーティング・マネージメント等)や、ビジネスのニーズに則した社内語学研修制度、リーダーシップ開発プログラムなどはもちろんのこと、自由なキャリアパスのためのキャリアガイドにより、各界を代表する教育機関の講師が、2,000以上のカリキュラムコースで指導を行い、オンラインや授業形式で学習できる。向上、成長を望む社員はとことん支援する、という会社の意志が目に見える形となって用意されていると言えよう。
一方、社員同士の精神面でのつながり、相互向上も重視し、専門分野以外の先輩社員をメンター(優れた助言者、恩師などの意)として話し合いの機会を設けるメンタリングや、共通の趣味を持つ者同士を結びつけるソーシャルグループによるネットワーク化も進めている。
さらに特徴的な制度が、マイクロソフトの経営層が直にコミットしているMACH(マッハ:Microsoft Academy for College Hires)プログラムである。
MACHは今後マイクロソフトの将来を担うであろう人材を、その名の通りマッハのようなスピード感をもって育てたい、という思いも込めて命名された、新卒社員とMBAホルダー向けの人材育成プログラムである。
新卒社員へのMACHプログラムは約2年間で、入社後の集合研修、世界各国の新卒社員1,000名を米国本社に集合させて開催するMACHグローバルカンファレンス、「仕事の協業」をテーマに、1年目終盤に海外の同期社員と参加する海外トレーニング、そして2年目の最後に「自身のブランド力強化」「ビジネスにインパクトを与える」をテーマに、やはり海外の同期社員と行う海外研修を柱としている。
就業経験が3~9年の、若手のMBAホルダー向けのMACHプログラムもある。こちらは約1年半の期間のあいだに、海外でのトレーニングを約3回行う。主な柱はまず新卒社員向けと同じく、MACHのグローバルカンファレンスへの参加だが、新卒社員と異なるのは、単にトレーニングを行うだけでなく、世界中のMBAホルダーとネットワークを構築し、人脈形成に役立てることができる点である。
2つ目の柱は米国への海外研修で、マイクロソフトのビジネス理解のための研修や、アドバンスト・プレゼンテーションのコース、リーダーシップ研修など、経営面でのカリキュラムを含めたリーダー養成の意味合いが強くなっている。
さらにローテーション・プログラムという、3~4ヶ月ごとにマーケティング部門内の組織を複数経験し、マイクロソフトビジネスの全容を把握する機会も設けている。1年かけてローテーション・プログラムを終了した後は、各社員の希望と適性により、配属が決定される。
以上のように、マイクロソフトはまさに世界規模の組織だからこそ可能な、グローバルなトレーニング制度を豊富に、かつ積極的に展開させている。マイクロソフトの「人に対する投資は決して惜しまない」という人材育成への意欲が、はっきりと表れている。
日本マイクロソフトの社会貢献・ESG
「ITによる、よりよい未来づくり」を企業の社会的責任と考えるマイクロソフトは、非常に広範囲な企業市民活動を展開している。
主な活動分野だけでも、教育、社会参画、地域活性化、セキュリティ、相互運用性、知的財産、環境、法令遵守、東日本大震災被災地復興再生支援、地域社会への貢献、などがある。
教育の分野では、学校でのICT(Information Communication Technology:通信情報技術)活用スキル向上のための「Innovative Education Program」、ITに関する大学共通の課題について議論する「大学CIOフォーラム」、産官学連携による共同研究をもとに立ち上げた「MSR(マイクロソフト リサーチ)アカデミック連携プログラム」などの取り組みがある。
環境保護では、IT機器自体の省エネ化や、大規模データセンターでサーバーを一括管理して利用するクラウドサービスや、リモートネットワーク活用などによるエネルギー消費量および二酸化炭素排出量削減、紙資源やメディアの製造・輸送・廃棄の代替として、「Degital by Choice」というダウンロードによる製品提供で二酸化炭素排出量削減を目指す取り組みなどがある。
社会参画分野では、IT活用による就労や社会参画を促す支援プログラムである「コミュニティITスキルプログラム」、2002年から計7回、50のNPO団体に助成している「NPO協働プログラム」、障碍のある方や高齢者にも利用しやすいコンピューティングを提供するアクセシビリティ向上や「アクティブシニアプログラム」などの他、NPO法人向けのクラウド活用術なども展開している。
そして東日本大震災の被災地支援への取り組みとしては、岩手、宮城、福島の東北三県における就労支援プロジェクト、「希望郷いわて」の実現を目指す岩手県とのICT活用による地域活性化、NGO,NPO向けのソフトウェア無償提供、Xbox360 Kinectによる被災した子どもたちの日常・非日常支援、被災中小企業への復興支援として再生PCを無償で提供する寄贈プロジェクト、ITスキル講習で女性の就労機会拡大を図る「コミュニティITスキル講習」の開始、災害時緊急連絡対応コミュニケーションツール「coco-do」の無償提供などを始め、震災発生直後から多くの復興支援活動を広範かつ精力的に展開、継続し続けている。