ゼロエミッション
ゼロエミッション(排出)とは、人間の活動から発生する排出物を限りなくゼロにすることを目指しながら最大限の資源活用を図り、持続可能な経済活動や生産活動を展開する理念と方法のこと。環境負荷を最小限に抑えるための1つの取り組みであり、特に地球温暖化対策として重視されている概念である。具体的には、CO2などの温室効果ガスを排出しない状態を指す。これは、人類の活動が地球の気候に及ぼす影響を抑え、持続可能な社会を実現するための重要なステップである。
ゼロエミッションの概念が提唱されるきっかけになったのは、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)である。その後、1994年に国連大学の学長顧問であったベルギー人の実業家、グンダー・パウリ氏により提唱された。背景には、ごみの総排出量の増加がある。1960年から1970年の高度成長期からごみの総排出量は増え、1955年からの20年間では約5倍となった。2000年代に入ってからは緩やかな減少傾向であるとはいえ、毎年多くのゴミが排出されている。
ゼロエミッションにおいては、廃棄物そのものを出さない仕組みを作ることで、社会システムや経済システムも含めた資源循環型社会の構築を目指している。例えば、ある工場で排出した廃棄物や副産物を、別の工場が原材料として再利用することで、全体として廃棄物を自然界に排出しないような取り組みが実施されている。この循環活動を成立させるには、どのような資源を使って何を作るかが重要となってくる。リサイクルという概念が、購入した製品をどう扱うかという「川下対策」であるとすれば、ゼロエミッションは「川上対策」だといわれている。
東京都もゼロエミッションの導入に積極的だ。「2050年ゼロエミッションの実現に向けては、2030年までの行動が極めて重要だ」と言及し、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減(2000年比)する、「カーボンハーフ」を表明した。この実現に向けて、2019年に策定・公表した「ゼロエミッション東京戦略」をアップデートし、取り組みを加速させている。
ゼロエミッションに取り組む企業や政府機関に対し、コンサルティングファームは、以下のようなサービスを提供している。
【カーボンフットプリントの評価】
企業の現在の温室効果ガス排出量の評価と、その削減目標の設定。
【持続可能なビジネスモデルの策定】
従来のビジネスモデルから、環境負荷の少ない持続可能なビジネスモデルへの転換を支援。
【エネルギー効率の改善】
エネルギー使用効率を改善し、エネルギーコストと環境負荷を減らす。
【再生可能エネルギーの導入】
太陽光発電、風力発電、水力発電などの再生可能エネルギーの導入と、それに伴う技術・経済評価。
【環境報告・開示の支援】
ESG投資(環境、社会、ガバナンスを考慮した投資)が増える中で、企業の環境配慮の取り組みを第三者に報告・開示するための支援。
主要なコンサルティングファームには、マッキンゼーやボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、デロイト、アクセンチュアなどがあり、各社ともにゼロエミッションへの移行を支援するサービスを提供している。
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