シナジー
シナジーとは、2つ以上の企業がM&A(買収・合併)や提携を通じてビジネス上の協力関係となることで、お互いの既存ビジネスを補完すること、またその効果のこと。
例えば、製品開発力は高いがヨーロッパの販路・サービス供給体制が弱いA社が、ヨーロッパを主要なビジネスエリアとしているやや製品開発力の弱いB社を買収すると、A社の製品をB社の販路を使って売ることができるようになり、シナジーが生じる。
シナジーは、売上の向上に資するものと、コストの削減に資するものに大別される。
売上であれば、フットプリントの相互利用(お互いのリソースが強いエリアを相互に開放することで販路やサービス網を拡大する)や技術の相互利用(同じ事業を行っていても得意とする技術が違う場合にお互いの技術を開放しより優位な製品を開発する)、特定顧客への相互アクセス(比較的スイッチングの起こりづらい業界において、買収・提携を通じ顧客を融通しあう)などが良くテーマに上がる。
コストであれば、購買力の向上を通じた交渉力向上(2社の購買を一元化することで購買規模が拡大し、ボリュームディスカウントを得やすくなる)、間接部門の統合によるコスト削減(2社それぞれが持つ間接部門を統合することで、効率化が図れる)などが良くテーマに上がる。また一方の企業が優れた経営手法を持っている場合、その手法をもう一方にインストールすることで改善が見込めるなどもシナジーといわれる。
理論的にはM&A(M&Aの項目を参照)の価値はシナジーによって生じる。買収価格は買収される企業が単体で将来的に生み出すであろう価値に基づいて算出されるため、そこからの上乗せ分がなければ理論的には収支がトントンとなるはずである(実務においては必ずしもそうでないが)。
そのためM&AではPMIにおけるシナジーの獲得が最重要事項の一つとなる。一般にはコストシナジーのような、取り組みやすく短期で効果の出るもので一定の成果(=クイックウィン)を出して機運を高め、中長期で取り組みが必要な売上側のシナジーの実現に取り組むことが多い。
戦略系ファームや財務系ファームへ応募すると、面接の中でM&Aがテーマとなることも多い。そこでは、「M&Aは何故失敗するのか」などという質問は頻出であり、ディスカッションにおけるキーワードとして「PMI」や「シナジー」は外せない。シナジーとは何で、その獲得がM&Aにおいてどのような意味を持つのかしっかり把握しておく必要があると言える。
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