内部留保
内部留保とは、企業の事業活動において得られた収益のうち、仕入れや製造過程でかかる経費や税金、株主への配当金を差し引いた利益が蓄積されたものを指す。社内留保ともいう。
一会計年度で計上される利益は、その中から株主への配当金が渡り、その残りが内部留保となる。
貸借対照表上では、内部留保という項目はなく、純資産の部(利益剰余金や資本準備金など)の勘定科目で計上される。
利益剰余金のうち、利益準備金は会社法によって積み立てておくことが義務付けられている。この準備金も内部留保の一部である。
企業が内部留保を行う目的・使い道としては、以下のようなものが挙げられる。
- 事業拡大に向けた設備投資や研究開発への投資
- 将来の大きな事業転換や業績不振・赤字、災害に対する備え
- 借入金の返済
内部留保が多ければ、企業を取り巻くあらゆる環境の変化にも、より柔軟に対応できるため、経営は安定すると考えられる。
内部留保があることで負債を発生させずに事業を回すことができるため、倒産のリスクも低く金融機関や投資家からの信頼を獲得することにもなる。
たとえば、一定の内部留保を確保していることは、新たな融資が必要となる場合でも、金融機関からの承諾を得るための有利な要素となる。
投資家から高評価を受けることによって、株価の上昇も期待できる。
ただし、内部留保は資産の扱いになることから、単純に企業に蓄積される現金だけでなく、機械や子会社株式がカウントされることもある点には注意が必要である。
また、内部留保は、利益配当を減らす(もしくは配当しない)ことになるため、目的のない闇雲な貯め込みによって、株主から不満が上がったり、配当増額の要求を受けたりすることもある。
すなわち、事業運営に対する懸念や不信となり、株価を下落させる可能性も出てくる。
財務省の統計によると、日本企業全体の内部留保額は、年々過去を上回る数値を記録している。
財務諸表から読み取れる様々な指標がある。ROEや内部留保などはその代表例であろう。
戦略系やFASといったコンサルティングファームでは、入社後も財務諸表を読み解く機会が多いため、財務諸表に関する用語だけでなく、そこから派生して出てくる「内部留保」等の会計用語については一通り知っておくと良いだろう。
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