累進税率
累進税率とは
課税標準(収入)が増加するほど、高い税率を課する課税方式のことを指す。代表的なものとしては、所得税、相続税、贈与税などが当てはまる。
累進税率には、「超過累進税率」と「単純累進税率」の2種類がある。日本の所得税算出には「超過累進税率」が採用されている。
■超過累進税率■
総合課税(給与所得、不動産所得、事業所得など)で適用される。
課税標準には区分(段階税率)が設けられており、前段階より超過した額に対してのみ、対象の規定税率を課するものである。課税所得額に応じて、5%(195万円以下)から45%(4,000万円超)まで7段階の税率が設定されている。課税所得とは、収入から所得控除(基礎控除・給与所得控除・社会保険料控除)を引いた額のことである。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | ― |
195万円超 330万円以下 | 10% | 【控除】97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 【控除】427,000円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 【控除】636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 【控除】1,536,000円 |
1,800万円超え 4,000万円以下 | 40% | 【控除】2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 【控除】4,796,000円 |
※国税庁 所得税の速算表(平成27年分以降適用)
■単純累進税率■
全体額に対して規定税率が課され、課税標準が大きくなるにつれ、単純に税額が増加するものである。
単純累進税率での課税額計算は、少しの収入が増えるだけで、大きな税額増加が起こるため不公平が生じる。
たとえば、690万円の場合、税率は20%であり、690万円×0.2=138万円となる。
700万円の課税所得となると、税率が23%に上がり、700万円×0.23=161万円で、その差異は23万円になってしまい、手取り額は700万円の方が低くなってしまう。
超過累進税率は、この不公平を是正するためのものである。
700万円を例にとると、
- 195万円以下の所得に対しては、5%の課税=97,500円
- 195~330万円以下の額に対しては10%の課税=135,000円
- 330~695万円以下の額に対して20%の課税=730,000円
- 695~900万円以下(この例の場合5万円)には23%の課税=11,500円
この各段階の課税額の総額974,000円が所得税となる。
ちなみに690万円の課税所得であれば、所得税は952,500円であり、差異は、21,500円である。
上記した所得税の速算表の控除数値を活用できる。
所得700万円の場合、7,000,000×0.23-636,000(控除額)= 974,000円が算出できる。
累進課税に対し、「比例税率」がある。
比例税率は、消費税、固定資産税、法人税などが対象で、個人の収入額に関わらず、一定の税率が適用される。
会計系・税務系コンサルファームや、再生系コンサルファームでは、クライアントを支援する際、このような税に関する細かい知識が求められることもある。面接時に聞かれることは少ないが、入社前に学習しておくことが望ましい。
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