PEST分析
PEST分析とは、事業を取り巻くマクロ環境の変化を整理する際のフレームワークのことで、シナリオプランニング等、中長期の戦略を考える際に利用されることが多い。マクロ環境をPolitics(政治面)、Economy(経済面)、Society(社会面)、Technology(技術面)の4つから評価する。
4つの要素について、事業環境に大きく影響を与える要素(ファクター)を抽出の上、各要素の発生見込みと対象事業に与える大きさを評価する。
シナリオプランニングの場合、発生見込みが高いものを中心にベースシナリオを組み立てつつ、発生見込みが低くても影響の大きい要素をリスクファクターとして組み込んだリスクシナリオを一方で立てることで、事業環境シナリオを作成し、中長期の方針を立てる。
4つの環境変化は具体的には下記のような項目を含む。
- Politics(政治面):国際情勢の変化、法制度の変化など
- Economy(経済面):景気動向の変化、市場規模・成長率の変化、為替の変化など
- Society(社会面):嗜好性や社会的要請の変化、及びそれらに影響する人口動態の変化など
- Technology(技術面):新技術の登場といった技術トレンドの変化など
上記のとおりPEST分析は広範な要素を含むため、PEST分析を行う際には事業にとって重要な要素を絞り込んで特定することが重要となる。起こりがちなこととしては、「少子高齢化」といったキーワードがSocietyで出てくるが、「少子高齢化」だけでは具体的にどのような影響があるかが不明瞭なので、「少子高齢化による医療費の肥大化」などとする必要がある。
具体例として自動運転について考えてみると、下記のような要素があげられる。
【Politics(政治面)】
:各国における規制動向(自動運転車におけるドライバーの義務、事故関連の法規制、自動走行技術の向上に向けた規制撤廃など)
【Economy(経済面)】
:自動車メーカーやサプライヤー、サービス事業者、IT事業者との動向
【Society(社会面)】
:社会の自動運転に対するニーズ(高齢化社会への対応などの社会的要請、安全性などの自動運転に対する受容性)
【Technology(技術面)】
:自動運転技術の動向(自動運転技術、通信技術等の発展)
これらの要素が自動運転の普及に対してどういったインパクトを与えるか、どの程度起こる可能性があるかなどを考慮して、シナリオを立てていくことになる。
コンサルティングファームのケース面接では、問題の外部要因を分析して議論の全体像をつかむために使われることの多いフレームワークである。例えば、「あるメーカーが海外展開を考えているが、どの国が良いと考えられるか」といった議題で、ある国家の環境を分析する際に活用することが出来る。
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