MECE(ミッシー)
MECE(ミッシー)とは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略語で、もれなくダブりなくといった日本語に訳されることが多い。各種分析の中で分類やラベリングを行う際に、もれなく全体像(=ユニバース)をとらえきれているか、逆に2つのラベルにダブりがないか、レベル感の異なる軸が混ざってしまっていないかなどを確認する。
MECEな分類の例としては、顧客業界別といったニーズの違いに着目した切り分け方や、バリューチェーン別、業務プロセス別などの切り分け方が存在し、クライアントにとっても直感的にもれダブりがないことがわかることが肝要となる。
とはいえ、本当の意味でもれなくダブりなくを追及すると情報量が増えすぎて理解を妨げることにもなりかねないので、理論的には存在するが現実的には存在しない分類項目などはあらかじめ落としてしまうことも多い(例えばシニア向け健康食品の顧客を分類するにあたって、30歳未満を分類から外してしまっても、それが議論参加者のコンセンサスであれば問題ない)。その意味において、議論の参加者が直感的にMECEであると感じる分類であることが最も重要である。直感的なMECE感を担保する上では、世間一般で使われている分類をできる限り踏襲しつつ、プロジェクトの文脈に応じたアジャストをするのが良いとされるケースが多い。
一方で起こりがちな良くない例としては、レベル感の違うものを並列に並べてしまうケースが存在する。
例えば、ある産業機械の顧客をパターン化しようと思った際に、「価格重視」「保守サービス重視」「ラインナップ重視」などという言葉が並ぶと、ややMECE感に欠けるように見えてしまう。これは、「価格重視」「ラインナップ重視」が機械に対するニーズであるように見えるのに対し、「保守サービス重視」はそもそも機械単体か保守サービスかという違う軸でのニーズであるためである。
この場合は縦に「価格重視」「ラインナップ重視」、横に「保守サービス重視」「保守サービス重視せず」などのラベルをとり、2×2のマトリックスとすれば、MECE感が担保できる。
MECEでない検討は、抜け漏れを指摘された時点で、積み上げたストーリーが瓦解することがある。そのため、コンサルティングファームのディスカッションにおいて、最も重視されている観点のひとつとなる。
選考で課されるケース面接においても、MECEに分析を進めることが期待される。面接突破のためには習得が不可欠であると同時に、コンサルティングファームに入社した後も重要な思考フレームであると言える。
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