弁護士法人
弁護士法人とは、弁護士業務を行うことを目的とし、弁護士法に基づき弁護士が設立する法人のことである。
平成13年の弁護士法の改正により、平成14年4月から弁護士の法人格化が認められた。
弁護士法人の社員は全員、弁護士でなければならない。
法改正施行以前は、弁護士個々に事務所を持つ(個人事業主)か、その事務所を設立した弁護士に雇われる形が取られ、取り扱う事件・事故は、個々の弁護士が個別に請け負っていた。
しかし、法律業務の複雑化・多様化が進み、これまでのスタイルでは対応が難しいケースが増加したため、個人ではなく、法人として事案を請け負う形態を認可し、弁護士業経営の安定と弁護士利用者の利便性を図るための改正が行われた。
弁護士法人は、本店となる事務所以外にも、支店事務所を展開することができる。
このため、弁護士法人では弁護士過疎地域でも、効率的に広範囲の案件に対応できるようになり、利用者の利便性にもつながる。
※法律事務所(非法人)の場合は、支店という形をとることができない。
事件・事故の訴訟案件の請負と責任は、弁護士個人ではなく、法人全体に発生する。
そこから案件が各弁護士に割り振られる形となる。負債や問題が発生した場合は、所属している弁護士全員の連帯責任となる。
個人弁護士よりも、法人のほうが信用度や安全性からの安心感が高まることもあり、法人化する弁護士事務所も増えている。
法人格になることのメリットには以下などがある。
- 所属弁護士の安定性が向上する(厚生年金と厚生健康保険などの企業義務が発生するため)
- 有効なノウハウの蓄積、若手弁護士の育成、法人内での請負案件の引継ぎが可能となり、長期的な継続・継承が見込める
- 刑事、交通事故、相続、企業法務・労務、離婚など多種にわたる案件を受けられるようになり、内容的にも物理的にも請負範囲が広がる
尚、弁護士は個人でも弁護士会費を支払う義務があるが、弁護士法人の場合、この個人会費に加えて別途の会費が発生する。
大手総合系コンサルファームでは、メンバーファームとして弁護士法人を抱えているところも存在する。
M&Aや組織再編に関するプロジェクトでは、このような法務の専門家とコラボレーションする機会も多いため、どのようなサービスを提供している集団なのかについて、基礎知識は押さえておいても損はない。
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