ランチェスター戦略
ランチェスター戦略とは、中小企業が資本力で上回る大企業を相手に、反対に資本力で勝る企業が中小企業を相手に競争した際、それぞれがいかにして効率よく勝ち残れるかを論じたマーケティング戦略。
優れた軍事理論として知られる「ランチェスターの法則」を事業戦略にアレンジしたもので、経営手法の1つ。
有効性の高さから多くの企業で用いられており、販売・営業戦略のバイブルと呼ばれる。
ランチェスター戦略の下地が生まれたのはアメリカだが、今日に至る優れた経営戦略理論として体系化を行ったのは日本である。
経営コンサルタントの田岡信夫氏は、ランチェスターの法則を独自に研究、解説本を執筆、ビジネスにおけるランチェスター戦略を提唱した。
ランチェスター戦略では、「弱者」と「強者」に分類される2通りの戦略が存在する。
弱者とは中小企業、強者とは資本・労働力など数的優位に立ち市場をリードする企業を指す。仮に市場占有序列2位であったしても弱者として定義される。
弱者である企業が、既にある程度の市場を開拓している企業と同様の経営戦略を行っても、資金力などの違いから決して差は埋まらない。
そこで、大企業が目を向けない隙間(ニッチ)な分野に、ターゲットを絞って戦略を練る。
大きく広い分野(戦場)において巨大な敵と戦うよりも、特殊性の高い分野で(局地戦)一対一で戦うほうが勝利を収める可能性を高める差別化戦略である。
未開拓分野において先行すれば、大きな成功を収める可能性があり、規模の小さな企業が用いるべき戦略としては効率が高い。
具体的な例として地域、商材を絞って特化するなどが挙げられる。
反対に、強者とされる企業が取るべき戦略は、追随が定石とされる。
弱者が切り開いた分野を分析した後に、資金・人員を大量投下すれば市場の強奪・拡大が可能となる。
同じ武器(商品)を持って戦えば、数的優位に立つ方が最終的に勝利を収めるとされる、ランチェスターの法則をマーケティングにそのまま応用した戦略である。
例えば、広域で、ブランド力などのリソースを活かして短期間で市場を獲得するなどが挙げられる。
コンサルティングファームで課されるケース面接では、「業界シェア2位の企業が、3年後にシェア1位をとるための戦略を考えよ」といった類のお題が出されることも多い。
そのようなお題では、企業の置かれている状況に応じて様々な戦略が考えうるが、ランチェスター戦略を用いてみることは一考に値するだろう。
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