カルテル
カルテルとは
カルテルとは、同業者などの複数の事業者が、話し合いによって、販売価格の示し合わせや製造量を調整することである。これは独占禁止法で禁止されている不当な取引制限の項目の一つである。
カルテルが行われてしまうと、その商品やサービスは、通常より高い価格設定で出回るようになる。価格競争をする必要がなくなり、競争が制限されてしまう。カルテルは、消費者にとっては、価格基準での選定ができなくなるほか、適正価格での購入ができなくなるデメリットも生じてくる。
各社に競争の必要性がなくなると、お互いに切磋琢磨して、売上向上、サービス向上のための努力をしなくなる。そのような企業は、徐々に事業力を衰退させていく。さらに、そのような企業が増えてしまうと、経済全体を停滞させることにつながってしまう恐れがある。このような背景から、カルテルに関する規定は、日本だけでなく世界的に厳しい規制が敷かれている。
カルテル発覚時の措置
違反があった場合は、以下のような行政措置を受ける。
排除措置命令
カルテルの破棄・撤廃、取締役会での決議と周知、再発防止策の策定などの命令
課徴金納付命令
課徴金額は、違反期間(最長3年)の対象商品やサービスの売上額をもとに、業界や企業規模ごとに設定された算定率を乗じて算出される。
早期に取りやめが実行された場合、算定率の20%軽減が認められる場合もある。
繰り返しの違反や、カルテル主導者の場合はさらに算定率が加算される。
このほか刑事刑、罰金刑、被害者に対する損害賠償請求、差止請求を受ける可能性もある。
価格カルテルは、出版業界に関しては「再販売価格維持契約」が認められている。そのため、家電などは店舗によって価格が異なる(メーカーが小売店に価格を強制しない)のに対し、書籍はどの店舗も一律で販売(出版社が決定)される。対象の著作物は、書籍、雑誌、新聞、CD、テープレコード盤となっており、電子書籍は対象とならない。
既述の通り、カルテルには厳しい罰則が課される可能性があるため、企業にとって考慮すべき重要なリスクである。そのため、コンサルティングファームの中には、クライアントのビジネスが独占禁止法に触れていないかどうかをチェックするカルテルリスク対応を行っている企業もある。リスクマネジメントといった観点でコンサルティングを行っているファームを受ける際には、どのようなコンサルティングメニューがあるのかを調べるとともに、当該分野の各用語においても整理しておきたい。
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