インキュベーション
インキュベーションとは、立ち上げ初期のスタートアップやベンチャー企業の運営を支援すること。その事業が利益を生み出し、成長しながら事業を継続できる状態にまでスピーディーに引き上げることを指す。
支援する側となる企業や機関、個人のことをインキュベーターといい、ベンチャー企業にとっては、貴重な投資家や事業パートナー的存在となる。
インキュベーションという言葉は、英語のincubation=卵を孵化させることに由来すると言われる。卵の状態、生まれたばかりのか弱いものをサポートし、その成長を加速させることに、ビジネスベンチャーへの支援をあてはめたものである。
ベンチャーキャピタルやエンジェル以外にも、さまざまな形でインキュベーションが行われている。
昨今は、国や行政も、インキュベーション協会、機構、施設を立ち上げ、ベンチャー企業や起業者を募って支援を提供している。大学内に学生や教員の事業開発や起業を支えるインキュベーションセンターを持つところもある。産官学連携でのインキュベーションも登場している。
また、大手企業がインキュベーション事業を展開しているケースも多い。特にIT分野企業によるインキュベーションプログラムが目立つが、情報システム開発・サービス、自動車、ロボット技術、医療、医薬、食品などでも活況である。
インキュベーションで支援される項目は多岐にわたる。
- オフィス施設の提供
- 事業資金の援助
- 事業に必要な設備やシステムの提供
- 取引先や顧客などコネクションの紹介
- 経営ノウハウの提供
- 企業が持つ先進・独自技術の提供
- 人的リソースの調達支援
- 事務、会計業務の支援
- 販路開拓・マーケティング支援
- アウトソーシング活用支援
- 専門家人材によるアドバイス支援
- 知財戦略・プロセスサポート
インキュベーション機関やプログラムごとに、支援内容は異なる。資金やオフィスなどの物理的支援だけでなく、経営のノウハウや運営についてプロのアドバイザーの協力が得られる点がインキュベーションの特徴である。その業種における事業運営で、押さえておくべき項目をほぼ網羅したサポートが受けられる。
近年では立ち上げ初期のスタートアップやベンチャー企業をメインに支援するコンサルティングファームも登場してきており、ベンチャーキャピタルなど同様に自己資金を投資するファームもある。
一方で、大手コンサルティングファームのクライアントは大手企業であることが多いが、イノベーションを起こすためスタートアップとのアライアンスやM&A等をサポートするケースも出てきている。そのため、いずれの規模のコンサルファームを受ける際にも、インキュベーションという概念を知っておく必要がある。
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