減損会計
減損会計とは、固定資産の価値を減額する会計処理(財務諸表への反映)を指す。
減損会計が求められるのは、企業が所有する固定資産の収益性の低下により、その資産に投資した額の回収が難しいだろうと判断されるときである。どれくらいの減額にするのかは、一定の基準が定められている。
上場企業に対しては義務付けられた会計処理であり、中小企業も、同様の状況があれば、適用/手続きが求められる。
対象となる固定資産は、以下のようなもの。
- 有形固定資産 …土地、建物、機械など
- 無形固定資産 …営業権、特許・商標権、ソフトウェアなど
- その他資産 …投資有価証券
減損会計は以下の5つのステップで進められる。
1.固定資産のグルーピング
2.減損の兆候の把握
3.減損の兆候の判定
4.減損損失の測定
5.減損損失を損益計算書に計上
1.固定資産のグルーピング
キャッシュフローを生み出す最小単位で括る。
たとえば、A製品を売れば売上が発生する=キャッシュフロー創出。
その製品を製造するために必要な固定資産(土地、建物、機械)をまとめることである。それが外れるとキャッシュフローに大きな影響を与える固定資産がグルーピングの対象となる。
2.減損の兆候の把握
減損会計が必要かどうかは、上記で括った資産グループごとに判断をする。
その資産グループについて、営業活動のキャッシュフローの継続的マイナス、事業廃止、稼働率の低下、材料価格の高騰、市場価値の下落、法律的規制強化からの影響などが著しい場合がその兆候となる。
そういったことがない場合は、減損の必要なしと判断できる。
3.減損の兆候の判定
将来的なキャッシュフロー(割引前)帳簿価額を上回るかどうかのテストをする。
下回っている場合は、減損損失となり、減損会計が必要だと判定する。
上回っていれば、減損会計は必要ない。
4.減損損失の測定
減損損失としていくら計上するのかを測定する。
現在の帳簿価額-回収可能価額で算出。
帳簿価額とは、会計上で記録された資産や負債の評価額のこと。
回収可能価額では、「正味売却価額」と「使用価格」のいずれか高いほうを適用する。
測定の段階では、割引後の将来キャッシュフローが用いられる。
5.減損損失を損益計算書に計上(会計処理)
測定により算出された減損損失額を「特別損失」として損益計算書に計上する。
処理を行った資産については、減損損失額を差し引いた額が帳簿価額となり、そこから減価償却していくことになる。
戦略系や財務系コンサルファームを受検する場合、実務としての減損会計処理が必須であるわけではないが、減損会計の定義そのものはしっかりと押さえておきたい。
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