インパクト投資
インパクト投資とは、経済的リターンをあげつつ、社会や環境に対して正のインパクトをもたらすことを目指している団体や企業に投資を行うこと。社会に貢献する新しい投資手法を言う。
投資を通じた社会貢献といえば、ESG投資を思い浮かべる人も多い。インパクト投資とは、財務的なリターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的・環境的インパクトを生み出すことを目標として行われる投資である。投資家は、社会的インパクトを生み出そうとしている企業に対して投資をする。ESG投資は、投資家が投資をする際に、ESGの課題を投資分析や投資の意思決定に組み込む投資をいう。企業に対して、成長とESGの取り組みを通じた社会の持続可能性への貢献を促している。
2007年の提唱以降、欧米を中心に社会的課題や環境問題を解決するための資金提供を目的とする財団や基金、銀行が相次いで設立された。また金融機関やクラウドファンディングサービスを行う企業が社会的インパクト投資ファンドを設立した。これにより、個人投資家も参入できるようになった。
社会的インパクト評価を行うために、一定程度の評価に関する工数負担や専門的知見、技能も必要となる。社会的インパクト評価に関する知見を蓄積して公開するため、ICTツールを導入することが1つの解決策として有用と考えられる。また、活動分野などの分類ごと、事業規模別に標準化されたICTツールについても、評価の比較可能性や統一性等の観点から検討することが重要になる。
社会的インパクトと考えられるテーマには、次のような投資事例がある。
- ・発展途上国における中小企業の支援
- ・発展途上国における女性の社会進出支援(女性起業家の支援)
- ・衛生状態が劣悪な地域における医療体制の構築サポート
- ・被災地の経済復興を目的とした奨学金、産業復興・雇用創出の支援
投資家から集められた資金はこうした支援活動を行うNPOや組合などの運営に利用される。投資家は、支援をした企業や起業した人のビジネスなどから生じた利益の一部をリターンとして得る仕組みとなっている。
日本におけるインパクト投資の2021年時点での残高は、国内で1兆3024億円(※)となっており、これは2020年と比べても約2.5倍という伸びとなっており、今後も市場は拡大することは必至だ。
※日本におけるインパクト投資の現状と課題 -2021年度調査-(GSG国内諮問委員会)
インパクト投資という領域に取り組むコンサルティングファームもある。PwCコンサルティングは、企業の投資戦略と整合したインパクト投資戦略の策定、インパクト測定・管理の実行、開示まで、一貫したアプローチで支援する。アーンスト・アンド・ヤング(EY)はインパクト投資領域において、持続可能性や社会的課題に取り組む企業やプロジェクトに資金やアドバイザリーサービスを提供する。
インパクト投資は、経済的な成果だけでなく、社会的な効果や影響を追求する新しい投資の手法である。投資家が資金を提供する際には、その投資先が社会や環境に対してポジティブな変化をもたらすことが重要だ。社会的課題の解決や貧困削減、教育や医療の普及、再生可能エネルギーの推進、環境保護などの領域に投資が行われることで、社会の発展や環境の保全に寄与することが期待される。
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