ジェンダーギャップ指数
「ジェンダーギャップ指数」とは、国の男女格差を示す指数(Gender Gap Index︰GGI)のことを指し、男女平等格差指数とも言われている。世界のリーダーが世界情勢の改善に取り組む国際機関である世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)(※)が発表している。
ジェンダーギャップ指数では、政治、経済、教育、健康の4分野14項目における男女格差を数値化しランク付けしている。0を完全不平等、1を完全平等と算定し、下記4分野の平均値を総合スコア化する。2022年のレポートでは145カ国が対象だった。4分野の詳細は以下の通り。
- 1:経済活動の参加と機会(給与、雇用数、管理職や専門職での雇用における男女格差)
- 2:教育(初等教育や高等・専門教育への就学における男女格差)
- 3:健康と寿命(出生時の性別比、平均寿命の男女差)
- 4:政治への関与(議会や閣僚など意思決定機関への参画、過去50年間の国家元首の在任年数における男女差)
2020年の日本の総合スコアは0.65、2021年は0.66、2022年は0.66だった。2022年の順位は146カ国中116位となった。これは、主要7カ国(G7)の中では依然として最下位であり、韓国や中国、ASEAN諸国よりも低い順位に位置している。
男女共同参画局の発表によると日本は特に、「経済」および「政治」における順位が低い。2022年の「経済」の順位は146カ国中121位で、「政治」の順位は146カ国中139位だった。
これは、各国がジェンダー平等に向けた努力を加速しているなか、日本が遅れを取っていることを示す。世界経済フォーラムのレポートでは、政治分野において格差が縮小したものの女性の参加割合が低く、国会議員の女性割合は9.91%(2022年)にすぎないことが原因で「政治」のスコアが0.061(2022年)と低いままであることが指摘されている。
さらに過去50年間、女性の行政府の長(首相)が存在していないこと、経済分野では、管理職の女性の割合が13.2%と低くなっていることにも言及されている。
国だけでなく自治体でも、ジェンダーギャップ指数上昇に向けたさまざまな取り組みは行われている。「ポジティブ・アクション」「男女平等の視点に立った研修の実施」「女性のこころの悩み電話相談」「女性への暴力を許さない意識啓発」などが挙げられる。
女性活躍推進に向けた取り組みに積極的な企業もある。ボストン コンサルティング グループ(BCG)は、女性の採用を増やすための女性専用採用チャネルを開設している。また女性一人ひとりの悩みに寄り添うメンター制度を取り入れている。
企業においては、ジェンダーギャップ指数の改善と男女平等の推進に向けた取り組みが重要となる。採用や昇進のプロセスにおいて、性別に基づく差別の排除を徹底する必要がある。
また、女性が管理職やリーダーシップポジションに進む機会を増やすために、キャリア開発プログラムやメンタリング制度の導入も有効となる。
男女の働き方の柔軟性を促進することも重要となる。育児や介護といった家庭の責任を持つ従業員に対して、柔軟な労働時間やテレワークの提供、育児休暇や介護休暇の取得支援などを行う必要がある。男性従業員にも育児や家事の負担を分担する文化を醸成するため、育児休暇などの積極的な活用を奨励していかなければならない。
給与や報酬制度においても、男女間の格差を是正する必要がある。同一の仕事に対しては、性別によらず公平な報酬を提供しなければならない。給与査定や昇給のプロセスを透明化し、性別による不当な差別を防ぐことが重要となる。
これらによって、企業の持続可能性と競争力が向上し、企業が社会全体の発展に寄与することが期待される。ジェンダーギャップ指数の縮小と男女平等の推進は、企業の重要な経営課題の一つとなっており、積極的な取り組みが求められている。
(※)世界経済フォーラム:非営利財団として1971年にスイスに設立された国際機関。世界、地域、産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組むことを目的とする。
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