フェムテック
フェムテック(FemTech)とは、「女性(Female)」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語。月経や更年期のほか、妊娠・避妊、産後ケア、婦人科系疾患、セクシャルウェルネス(※)といった女性特有の悩みや課題に対し、先進的な技術を用いた製品やサービスにより対応するものを指す。
フェムテック市場は欧米を中心に拡大し、最近では、日本でもさまざまな製品やサービスが登場するようになったため、注目を集めている。
フェムテックが注目される背景には、ジェンダー平等意識が向上していることがある。SDGsの観点からも、持続可能な開発目標の一つであるジェンダー平等(「SDGs17の目標」のうちの目標5)や良い健康と福祉(「SDGs17の目標」のうちの目標3)に貢献している。人材確保の観点からもフェムテックは重要だ。フェムテックによって、企業が女性に働きやすい環境を提供できれば、女性の活躍を促し、多様な人材の確保にもつながる。
女性管理職の増加や男性の育休取得率の上昇で、これまでタブー視されてきた生理の話など、女性特有の悩みや問題が、少しずつ共有され始めている。テクノロジーの進歩が追い風になって、生理や更年期などの女性が抱えていた悩みをデータ化し、解決策を提供しやすくなっている。
今後の世界の市場規模の見解として、2021年に米調査会社CB Insightsが発行したレポートによると、現在の350億ドル(約3.8兆円)から、2025年までに500億ドル(約5.5兆円)にまで拡大すると予想している。
経済産業省は、フェムテックの製品・サービスを5つに分類している。
- 1.専門家相談/サポート
- 2.簡易検査キット
- 3.健康管理/トラッキング
- 4.医療支援
- 5.その他
日本でも、花王やファーストリテイリングなど、有名企業がフェムテック産業に続々と参入。フェムテック事業を展開する企業を支援する動きもある。経済産業省は2021年に「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の活動を始動している。こうした政府の動きを加味しても、市場は今後も拡大すると考えられる。
マーケットの大きさだけではなく、人材獲得の面から見てもフェムテックに関心を持つ企業は優位性を持っている。女性やその他のジェンダーのニーズに配慮していると認識されるケースが多いため、多様な人材を惹きつける力が強まり、優秀な社員を採用しやすくなる傾向がある。また、フェムテック導入により、従業員の健康やウェルビーイングに注力しているというメッセージが社内に伝わるため、従業員の満足度が向上し、離職率の低下や長期的な雇用につながる可能性もある。
(※)世界保健機関(WHO)では「セクシュアリティに対して身体的、感情的、精神的、社会的にも健康な状態であること」と定義されている。
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