コンサルティングファーム
コンサルティングファームとは
コンサルティングファームとは、企業の課題解決のサポートを生業とする専門業者であり、弁護士事務所(ローファーム)や会計事務所の経営バージョンと理解するとわかりやすい。
元来はConsult(相談する)の意味のとおり、企業が課題解決を行う際の相談相手というような位置づけだったが、現在では顧客企業の中に長期間入り込んで課題解決をサポートするというような、アウトソーシング的なサービスも多くなっている。
また、類似の企業群としてシンクタンクがあげられるが、この線引きもまた曖昧である。一般にシンクタンクの方が調査が多く知見で勝負する一方、コンサルティングファームは意思決定のサポートが多く知恵で勝負するなどといわれるが、シンクタンクでもコンサルティングを行っている部門は存在する上、コンサルティング会社でも調査プロジェクトは存在する。シンクタンクの持つコンサルティング部門とコンサルティングファームでは、ほぼ差がないのが実態である。
コンサルティングファームには、戦略系、総合系、会計系、IT系、人事系などの区分が存在するが、業務として被る部分は存在する。戦略系は経営レベルの意思決定(CEOアジェンダ)に強みを持っているのに対し、総合系は経営レベルの意思決定からオペレーションの支援まで幅広く行える強みを持ち、会計系・人事系などはそれぞれの機能領域に強みを持つ。また総合系はIT系や会計系など出自によって少しずつ得意領域が異なる。ただし近年では戦略系ファームも規模を拡大してオペレーション領域を増やしている一方、総合系も経営レベルの領域を強化するなどし、競合する部分が増えており、既に区分ごとの垣根は曖昧である。
コンサルティングファーム 仕事の流れ
コンサルティングビジネスは受注産業であり、まずクライアントからRFP(Request for Proposal、提案依頼)を受け、プロジェクトを提案する(随意契約のパターンとコンペのパターンが存在する)。料金体系としては請負型と成果報酬型が存在し、一般には請負型が多いが、コスト削減など成果が定量的に評価しやすいものについては、成果報酬がとられることもある。プロジェクト直後にはそのプロジェクトの正当性や価値を評価できないため、成果報酬体系をとるべきだとの考えもあるが、成果報酬を入れることにより短期視点での意思決定が多くなりかねないとの懸念もある。
成果が出るか不確実な状態から契約を結ぶというビジネスの特性上、新規クライアントに提案をして、受注することは大変難易度が高い。そのため、コンサルティングビジネスはリピートビジネスの色が強く、リピート顧客の多さがビジネスの安定性を決める。
コンサルティングファームは転職市場において極めて人気の高い業界であるが、戦略系、総合系、会計系、IT系、人事系などの区分についての理解や、そもそものコンサルタントの仕事への理解が十分でないままに面接に臨むことは危険である。面接の中では、具体的にコンサルタントとして働くイメージがついているかどうかを問われることも多いので、事前に書籍やWebサイトを読む、詳しいエージェントに話を聞くなど、対策を取ることが重要である。
業種別コンサルティングファーム
①戦略系コンサル:多様なインダストリーやファンクションにおける経営課題を解決するファーム
②総合・業務IT系コンサル:業務改善、IT戦略、ERP導入、SI、BPOなどの経営課題を解決するファーム
③シンクタンク:大手企業グループの基盤を活かし、経営・ITコンサルや調査を行うファーム
④財務系コンサル・FAS:財務・事業再生・M&Aアドバイザリーを中心とするコンサルティングファーム
⑤組織人事系コンサル:HR領域で人事戦略・制度設計や組織風土改革・人材開発を行うファーム
⑥先端・専門領域系コンサル:先端的なテーマ(AI、DX、環境)に特化した専門的なコンサルファーム
⑦マーケティング・ブランド系コンサル:マーケティング戦略・ブランド戦略の立案から実行まで総合支援するファーム
⑧医療系コンサル:病院経営基盤を総合的に強化する専門的なコンサルティングを行うファーム
⑨監査法人アドバイザリー部門:大手企業の監査や各種のアドバイザリーサービスを展開するファーム
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