参入障壁・撤退障壁
参入障壁
参入障壁とは、ある製品・サービスの市場に対し新規参入を阻害する要素・度合いを意味し、参入障壁が高い・低いといった表現で参入の難易度を表す。
参入障壁が高いほど、既存事業者は新規参入の脅威にさらされづらく、高い収益性を維持しやすいため、既存事業者は強固な参入障壁を打ち立てることに注力し、新規事業者は自社の努力やロビイング(規制や国際標準など自社に有利な戦略環境を政府や国際機関に対し一足先に働きかける活動のこと)などを通じて参入障壁を超えることに注力する。
また、参入障壁は市場全体に対しての障壁を指す場合もあれば、特定のセグメントに対しての障壁を指す場合もある。
参入障壁はその事業におけるKSF(Key Success Factor、「重要成功要因」)と密接につながっており、製品・サービスにより多種多様な参入障壁が存在する。
例えば、特殊な技術及びその特許、規模や学習効果による低コストでの製造技術、主要な販売チャネルとの強固な関係性など、既存事業者のケイパビリティが参入障壁を形作る。
また航空機部品におけるボーイングやエアバス等の厳しい認証プロセスや、国が管理している事業用の電波割り当てといった市場由来の参入障壁も存在する。
参入障壁は常に同じように存在しているわけでは無く、コモディティ化やイノベーション等によって変化する。
撤退障壁
撤退障壁とは、ある製品・サービスの市場から撤退する際に、撤退を阻害する要素・度合を意味し、参入障壁同様に高い・低いといった表現を使う。
撤退障壁の例としては、自動車用の部品などがあげられる。
自動車部品は、一度あるモデルに搭載されると、そのモデルが生産中止になるまで生産を続けなければならず、採算が合わない場合でも5年は生産を続けなければならない。
BtoCの世界でも、複数年契約などを顧客と結んでいると、その事業を継続してくれる引き取り手を探さない限り、勝手にサービスを終了することは難しい。
採算性が不確実な新規事業等において、採算割れを起こした場合に撤退できるかは、失敗した場合に傷を大きくしないために重要なので、こうした撤退障壁は事前に必ず議論される必要がある。
コンサルファームでは、「ある企業が新規事業に参入するとしたらどのような事業が良いか」と言ったテーマのケース面接が課されることも多い。その際、参入障壁について十分に考慮する必要があるのはもちろんのこと、上記の自動車部品のような特殊な領域や、介護や教育などの社会責任の大きい領域に参入するとした場合には、撤退障壁も考慮したうえで議論を進める必要があると言える。
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