アメーバ経営
アメーバ経営とは、京セラ創立者の稲森和夫氏が自らの経験から導き出した「全員参加型」の経営手法である。
組織をアメーバのように細かく分割し、その小集団ごとの独立採算の収支管理を徹底する。
これにより、役割と責任の所在も明確になる。
その小集団のリーダーが、一つの会社を経営しているような意識を生み出す。
各現場の小さな集団であるため、コミュニケーションも緊密になり、社員もリーダーと意識を共有しながら収益向上のための工夫や改善に努めるようになる。
収支結果は、月ごとに企業全体に向けてオープンにされるが、収支報告は、簡易な「時間当たり採算」の算出システムを採用している。
独立採算制であるため、社内でのモノのやり取りも収支として計上される。全社開示となるため、人件費は含まれないことが多い。
代替指標として、小集団内の総労働時間が使われることがある。これにより、各集団の比較も可能となる。
このような仕組みによって、社員の当事者意識を促すとともに、どのように動けば収益や付加価値の創造につながるのかもわかりやすくなる。
経営者も企業内の隅々までの状況を明確に把握することができる。
環境の変化に応じて、タイミングを逃さず分裂や廃止の措置をとり、企業の維持・成長のための体制を整えられる。
採算が取れなければその小集団は透明性の保たれた認識のもとに消滅することになる。
このような代謝により、組織への貢献意欲と責任を助長する。
ボトムアップの報告だけでなく、トップダウンの状況報告も担当部署を設置して徹底される。
情報システムを活用し、財務会計の知識がなくてもわかりやすい形に加工されたデータが個々のリーダーに伝えられる工夫がなされている。
アメーバ経営の目的は、すべての部門が市場価値や価格に意識を向けることにある。
コスト削減のための改善を繰り返すだけでは、内部意識に留まってしまい、収益に対する意識が醸成できない。
すべての社員の意識を目の前の仕事だけでなく、経営に向けさせる。
この慣習が人材の育成にもつながっていくことを目指すものである。
有名な経営手法でありながら、コンサルティングファームの面接等で話題になることはそこまで多くない。
しかし、著名であるがゆえにアメーバ経営に関連する話題が出てくる際には、当然知っているものとして議論が進められる可能性があるため、押さえておきたい用語である。
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