絶対的貧困
絶対的貧困とは、食料や衣類など人間らしい生活の必要最低条件の基準が満たされていない状態のことをいう。例えば、住む家がない、食事を摂りたいが食料がない、買えないといった状況などが絶対的貧困に該当する。
世界銀行は2015年の※購買力平価換算で1日あたりの生活費1日1.90ドルを貧困ラインと設定した。これを満たさない基準で生活している人々のことを絶対的貧困層、または極貧層と定義している。
※物価水準などを考慮した各国の通貨の実質的な購買力を交換レートで表したもの
世界の半数以上の国において極貧人口の割合は3%以下の水準である。しかし、それは世界で極貧との闘いが終わったということを意味しない。世界銀行は低から高中所得国の実情を考慮し、従来の1日あたり1.9ドルの貧困ラインではなく、1日あたり3.2ドル及び5.5ドルの貧困ラインも視野に入れている。『世界銀行2018「2018年版 貧困と繁栄の共有:貧困のパズルを解く[Poverty and Shared Prosperity 2018: Piecing Together the Poverty Puzzle]」』では、2015年時点で、「世界人口の4分の1が1日あたり3.2ドル、半分近くが1日あたり5.5ドル以下で生活している」と指摘している。世界銀行がこれらの貧困ラインを検討するのは、国や地域ごとの貧困の実態をより正確に把握し、国や地域が効果的な対策を講じられるようにするためだ。
絶対的貧困には、国・地域の生活レベルとは無関係に、栄養不良、文盲、疾病、悪環境、高い幼児死亡率、低い平均寿命などの特徴がある。教育水準が低く、乳幼児死亡率などが高い南アジア地域とサブサハラ・アフリカ地域といった途上国に絶対的貧困は集中しており、ため、国際社会として対応すべき課題となっている。国際社会による支援や援助によって、途上国の教育水準向上、医療・保健施設の整備、貧困層の雇用創出や、生産性の向上といった農村部の開発などを進めていかなければならない。
絶対的貧困の是正に向けて、コンサルティングファームもさまざまな取り組みをしている。たとえば、マッキンゼー・アンド・カンパニーやベイン&カンパニーは国や非政府組織(NGO)に対し、貧困状態の解決や経済発展に関する戦略や政策の策定の支援や、貧困削減や経済成長に関連するプロジェクトの実施、管理、評価を支援するなどしている。
教育水準の向上などのほか、社会保障制度の強化、住宅、衛生設備、飲料水、電力供給などの基本インフラの整備など、絶対的貧困を解決するための課題は山積している。解決に向けた持続的な取り組みが必須であり、各コンサルティングファームの知見は絶対的貧困層の減少に向けての取り組みの中で大きな存在となるだろう。
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