【シグマクシス】3Dバイオプリントによる食用培養肉製造技術に関する社会実装の具体的な取り組みを開始
株式会社シグマクシス(以下、シグマクシス)は2023年3月、大阪大学大学院工学研究所(以下、大阪大学)、株式会社島津製作所(以下、島津)、伊藤ハム米久ホールディングス株式会社(以下、伊藤ハム米久)、凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)とともに「培養肉未来創造コンソーシアム」を設立したことを発表した。このコンソーシアムの目的は「3Dバイオプリントによる食用培養肉製造技術に関する社会実装の具体的な取り組み」だ。企業の枠を超えた協業により、「3Dバイオプリント技術の応用開発」「生産・流通までの一貫したバリューチェーンの確立」「省庁や民間企業との連携による法規制整備への貢献」を推進する。さらに、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)での展示など、「生活者の理解促進につながる情報発信」に注力し、世界に先駆けた培養肉食用化実現を目指す。
コンソーシアムの参画組織は技術開発、省庁や関連団体との連携、対外情報発信を行う「運営パートナー」、特定の技術領域について共同研究を行う「R&Dパートナー」、培養肉関連の技術・製品の普及に向けた情報発信を担う「社会実装パートナー」で構成される。「運営パートナー」は今回コンソーシアムの設立を発表した5者が務める。
3Dバイオプリント技術は大阪大学により開発。これは筋肉組織構造を自在に作成するもので、食糧や再生医療、創薬分野での利活用が期待されている。2021年8月、大阪大学と凸版印刷らは筋・脂肪・血管という異なる繊維組織を3Dプリントで作成し、それらを束ねて統合する技術についての論文を発表している。この技術をもとにして大阪大学・島津・シグマクシスは2022年3月、「3Dバイオプリント技術の社会実装」に向けた協業契約を締結し、実装化への取り組みを開始した。今回設立される「培養肉未来創造コンソーシアム」には食肉に関する知見を豊富に有する伊藤ハム米久が参画することで、これまでの協業をさらに発展させ、技術開発を促進することが見込まれている。コンソーシアム設立に先立ち、5者は2023年1月に「3Dプリントによる食用培養肉技術の社会実装」に向けた合意書を調印し、活動に向けた体制構築を行った。
大阪大学、伊藤ハム米久、凸版印刷は今回のコンソーシアム設立に合わせ、大阪大学吹田キャンパス内に「培養肉社会実装共同研究講座」を開所。共同研究講座および2019年12月に設立した「大阪大学・島津分析イノベーション協業研究所」がこのコンソーシアムの研究推進拠点となる。また、5者はコンソーシアムの活動内容を世界に発信する場として大阪府・大阪市などが出展予定の大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn」に協賛し、培養肉自動製造装置を展示予定だ。希望する来場者には3Dバイオプリント技術で製造した培養肉を提供することも検討している。大阪・関西万博での活動を通じ、環境負荷を低減し、世界規模のたんぱく質不足を解決する「未来の食」の1つとしての培養肉の在り方を提示し、生活者の理解促進を促す。5者はコンソーシアムでの活動を通じ、環境・食糧問題の解決や人々の健康増進。未来の食の提案に貢献していく。