MRI、日本のジョブ型人事導入に向けたロードマップ作成、「職の共通言語」の構築へ向けて
2024年9月、株式会社三菱総合研究所(以下MRI)は、政府による「三位一体の労働市場改革」実現のため、労働市場における職務やスキルに関する共通言語構築に向けたロードマップを作成した。
■背景
経済成長のため、人材を成長分野に振り向けるという時代の要請をうけ、政府は2024年8月、「ジョブ型人事指針」を公表。企業が各人の職務に応じて必須スキルを設け、従業員自身で職務やリスキリングの内容を選んでいくという「ジョブ型人事(職務給)」に移行するためのガイドラインが示された。
ただ、政府は「内部労働市場と外部労働市場のシームレスな接続(※)」をうたっているものの、その実現に不可欠な、職務経歴書やスキルに関する労働市場における共通言語は構築されていない。そこでMRIでは、人材を流動化させるうえで欠かせない情報を「職の共通言語」と定義し、その構築に向けた方策について提言している。
※内部労働市場:従業員の配置転換など、企業内における労働市場。外部労働市場:新卒・中途採用や転職など、企業と外部の間における労働市場。
■本提言の概要
本提言は「職の共通言語」の社会実装のため、具体的かつ段階的な方策の提示を目的としている。日本の労働市場における課題を、「行政」「企業」「産業団体/人材・教育事業者」のファクター別に明確に設定したうえで、ロードマップの提示および具体的な政策を提言している。
【行政への提言】
提言1:ビジョンと産官学役割分担の提示
提言2:民間サービサーを通じた情報活用の促進
提言3:企業のジョブ型導入後押
【企業への提言】
提言4:前提となる目的(パーパス)の明確化
提言5:内に閉じない職務・スキル可視化の推進
【産業団体/人材・教育事業者への提言】
提言6:人材流動化エコシステムの一員としてスキルベース共通言語の普及促進
■今後について
三位一体の労働市場改革が進展する中、MRIは総合的・科学的・客観的なデータの分析・提言をしていくとしている。公的機関や民間企業、国内外の研究機関とともに、国内における人材流動化を通じた経済の活性化が期待される。