[マッキンゼー]日本企業のデザイン力を高めるための考察レポートを公開
マッキンゼーは2023年5月、「日本企業のデザイン力を高めるために」というタイトルでレポートを発表した。
「優れたデザインは、企業の業績を後押しする」から始まるこの記事では、日本企業がデザインに関する行動パターンのベストプラクティスをいかにして学び習得するかについて紹介している。マッキンゼーが2018年に実施した調査の結果、上場企業300社において、デザインの実現に最も効果的な取り組みを実施している企業は、業界平均の倍のスピードで成長し、また2倍近くの価値を創出しているという結果が出た。ちなみに、マッキンゼーが定義するところのデザインとは「デザインとはもはや、審美的な意味合いにとどまるものではない。顧客ニーズを新商品やサービスに反映させるための、多くの実績で裏付けられた科学的な手法であり、ビジネスにおける規律」のことである。
※2022年4月マッキンゼーレポート「なぜ今、日本に「デザイン」が必要なのか」
マッキンゼーのこれまでの知見によると、日本企業のリーダーの大半は、すでにデザイン力強化が自社の競争優位性確立につながる可能性があることを認識している。しかし、この能力を自社組織内で開発する方法を把握できていないのが現状だと問題提起する。
本記事では、優れたデザインを実現するためには包括的なアプローチが必要であると述べ、下記の4つの項目に取り組む必要があると提起している。
(1)アナリティカルリーダーシップ
デザインを判断する際に、直感だけに依存せず、収益やコスト管理と同等の厳密さをもってデザインを評価し、活用する
(2)シームレスな顧客体験の提供
単なる製品の提供にとどまらず、顧客ニーズにとって最良の解決策を提供するため、プロジェクトの開始段階から顧客と対話する
(3)機能横断的なアプローチ
顧客中心主義のデザインを達成することを、特定部門内だけにとどまらせずに、従業員全員の責任とする
(4)反復的な開発の重視
1回限りのフェーズで終わらないよう、エンドユーザーを巻き込んでテストを繰り返す
日本はトヨタ式などで知られる通り、プロセスイノベーションをすでに実現している土壌がある。そのことから考えても「優れたデザイン」に関してもさらに上位レベルを習得できるだろう、という日本の持つポテンシャルに言及したうえで、「デザイン」こそがこれからの日本のものづくりにおいて競争力を飛躍的に高めるだろうと結んでいる。