EYが企業の経済安全保障に対応したリマニュファクチャリング支援コンサルティングを提供開始
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下、EYSC)は、2023年5月から、企業の経済安全保障に対応したリマニュファクチャリング(以下、リマニ)構築を支援するコンサルティングサービスの提供を開始することを発表した。リマニとは企業が使用済み製品から部品を回収して再利用し、新品またはそれ以上の品質を保証して市場に提供する仕組みのことである。
多くの国や地域で地政学リスクの高まりを受け、経済安全保障政策の策定に取り組み始めている。経済安全保障は様々な規律となり、企業の経営環境の前提条件を非連続的かつ根本的に変化させ、将来の見通しが非常に立てにくい状況が続いている。こうした状況は地政学環境の変化により、今後30年から40年は続くと考えられる。そのため、経済安全保障政策への対応を最優先した企業戦略立案が必要不可欠となっている。しかし、日本では取り組みが遅れているのが現状だ。
米国では2015年からコスト削減を目的に連邦政府機関が公用車の修理に再製造部品の使用を推奨する法律が制定され、リマニを推進する業界団体が立ち上がった。2019年から本格化した米国政府の経済安全保障政策の変化を受け、政策の位置づけが大きく変化している。サプライチェーンにおいては、経済安全保障政策に対応するため、特定国への依存からの脱却と、フレンドショアリングの早期対応が必要となり、米国企業はリニアによりそれを水面下で実現し始めている。一方、欧州や日本ではサーキュラーエコノミーの実現を目指して多様な取り組みが行われているが、環境と経済性を同時に成立させる困難さから多くの企業で実行が進んでいないのが現状だ。米国の経済安全保障政策の実現を受け、リニアによりサプライチェーンを経済安全保障に対応させ、その後サーキュラーエコノミーを実現していく優先順位が明確化したことでリニアの導入が加速する。
リニアの実施にあたっては刻々と変化し続ける世界各国の経済安全保障政策を読み解きながら各国の経済安全政策要件を満たす製品設計、ビジネスモデル、サプライチェーン、情報システムの再構築を同時並行で進めていくことが必要だ。今回発表されたリニア構築支援のコンサルティングサービスでは、経済安全保障政策の専門家からなるEYSCチームである「ストラテジック インパクト」とビジネスモデル改革、サプライチェーン改革の専門家を擁する同じくEYSCのチーム「ビジネスコンサルティング ファイナンス」が中心となり、EY Japanの各メンバーファームのプロフェッショナルと連携し、企業支援を行うとしている。