[EY]企業・投資家間でサステナビリティ取り組みに対する温度差があるという調査結果を発表
EYは、2023年4月、企業と投資家の意識調査レポート「EY Global Corporate reporting and Institusional Investor Survey」を発表した。サステナビリティ投資および情報開示に対する期待や目標について企業の最高財務責任者(CFO)、他の財務部門シニアリーダー1,040名と世界各国の機関投資家320名の見解を調査した。この調査により、企業と多くの投資家の間にサステナビリティ活動に対する意識の相違があること、多くの企業・組織で資本調達が滞る恐れ、脱炭素化の進展が阻害される可能性があることが判明した。
この調査によると、78%の投資家が企業は短期的に利益減少につながるものであっても、ESG関連課題の改善に投資すべきだと回答。しかし、同様の考えを有する企業のリーダーは55%にとどまった。さらに、53%の企業は、実際は短期的利益還元を求める投資家からの圧力により長期的投資を促進する試みが阻害されていると考えているという結果に。投資家は企業のサステナビリティ活動に関する重要情報の開示アプローチに対しても、とても批判的立場をとっている。99%の投資家が、投資の意思決定において企業のESG情報開示が重要な部分を占めていると回答しているが、そのうちの76%は企業・組織が開示情報を「非常にえり好み」していると感じており、グリーンウォッシュを懸念。さらに、このうちの88%が企業は情報開示を強制されたときのみ情報開示を行っていると考えている。サステナビリティ関連の長期的投資を行っている企業について、80%の投資家はこれら企業は投資の根拠を説明できておらず、そのためサステナビリティ関連の長期的投資を評価することが困難であると主張する。これに対し、企業の多くは自社の情報開示アプローチに改善の余地があると認識。調査に参加した企業・組織のうち、サステナビリティに関する重要な情報を投資家に提供していると回答したのは54%のみであった。このような差異がある一方、企業と投資家の間である種の共通認識があることも分かった。両者は現在の情報開示基準が脆弱であるという点で合意している。改善が求められる主要な点として開示された情報の根拠を要求する要件の不足、ESG情報開示が主たる財務報告から離別されていること、将来の計画を提示するような情報開示の欠落を挙げている。調査では企業・組織が信頼向上のための解決策も提示する。ここでは、投資家の期待に応じられるよう、サステナビリティ情報開示の設計を改善することとサステナビリティ情報開示において財務部門リーダーおよび財務ファンクションの役割を向上させることを優先事項として掲げている。