EY調査:悪条件に反し、テクノロジー企業のM&A意欲が2023年に再燃する見通し
EYは「2023年におけるテクノロジー企業のビジネスオポチュニティ・トップ10」を発表した。2023年におけるテクノロジー企業のビジネスオポチュニティ・トップ10は以下の通りだ。
1. M&A戦略の実行を加速し、成長図を強化する
2. マーケットにディスラプションをもたらすため、新しいプラットフォームエコシステムを試みる
3. コスト増につながるとしても、ローカリゼーションに強くコミットする
4. 環境サステナビリティを優先させる
5. 都度払いシステムを導入して、補完的な収益ストリームを惹き付ける
6. 最大の収益を得るためにアナリティクスのツールを活用する
7. オペレーションおよびエクスペリエンスを向上させるため、エッジコンピューティングのシステムに投資する
8. サイバー…データ保護を確実にする
9. リソースを自社のニーズとマッチさせるためにアジャイルな人材戦略を推進する
10. 国際的な最低法人税率15%の運用に備える
テクノロジー企業は現在インフレの高まり、エネルギー危機、消費者の購買意欲の減退といった課題に直面している。本調査によると、テクノロジー企業の2023年の最大のオポチュニティは積極的なM&A戦略を取り入れることだ。企業価値評価の低下を受け、今後テクノロジー企業のM&Aディールへの意欲が再燃することが見込まれる。CEOを対象とした別のEY調査では、今後1年のうちにM&Aを実施予定とするCEOは全セクター平均が59%だったのに対し、テクノロジーセクターでは72%だった。
過去数年にわたり実施されてきたサプライチェーンの改善は、世界の政治状況と経済・財政情勢の悪化により行き詰まりを見せている。テクノロジー企業がローカリゼーションにより強化的にコミットすることで、地政学的に不安定な地域への依存を減らすことが3位となった。テクノロジー企業の経営層もこれに賛同している。
2023年におけるテクノロジー企業のビジネスオポチュニティ・トップ10で第9位となったのはアジャイルな人材戦略を確立することだ。直近では従業員の「大量退職」がテクノロジー企業にとっての最大の人材関連課題であった。別のEY調査によると。働き方の優先順位がコロナ禍で変化したことに起因し、テクノロジーセクターで働く従業員の56%がより給与の高い会社、ウェルビーイングが充実している会社、そして新たなキャリアを求め、現在勤める会社を辞めることを考えていると回答していた。状況が変化する現在は、長期的成長を加速させるため人材不足問題を解決しなくてはならないだけでなく、経済の不確定要素に呼応し、雇用凍結やリストラ断行にも取り組まなければならない。
さらに、新たに制定された温室効果ガス排出および気候変動リスクに関する情報開示の法規制を順守するよう、企業が適応を求められるため、2023年は環境サステナビリティの影響を2022年以上に受けると予想している。新しいITアーキテクチャーへの投資を積極的に行うテクノロジー会社では、エッジコンピューティングが2023年の成熟度の最高レベルに達する可能性があると指摘した。