【BCG 調査結果発表】世界のマーケティング責任者70%が生成AIを自社のマーケティングに導入
経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、アジア、欧州、北米における様々な業界の最高マーケティング責任者(以下、CMO)200名以上を対象に生成AIに関する調査を行い、その調査結果に基づくレポート「How CMOs Are Succeeding with Generative AI」(以下、本レポート)を発表した。
生成AIの活用状況について、「既に生成AIを自社のマーケティングに導入している」と回答したCMOは70%に上り、19%は「導入に向けたテストを実施している」と回答した。生成AIを導入していると回答したCMOが最も注力している領域は「パーソナライゼーション」で、回答者の67%が取り組みを開始しており、次いで「インサイト創出」が51%、「コンテンツ作成」が49%という結果になった。また、生成AI導入の影響について、CMOの93%が業務の体系化に、91%が業務効率化に、それぞれ「有益」または「非常に有益」な影響があったと回答しており、導入した企業のCMOのほとんどがその効果を実感していることが明らかになった。一方、生成AIに関する規制に関しては81%のCMOが「生成AIに関する規制が必要だ」と回答しており、77%が「今後2年以内に自社の規制が対象となる」と考えている。また、94%に上るCMOが責任あるAIプログラムを自社で実施しており、適切なガイドラインや管理体制がない中、外部ツールが使用された場合に発生しがちな多様なリスク軽減に努めている。
生成AIは即座に便益をもたらすため、導入の有無により同業界の企業間においても二極化が進行すると考えられる。そのため、生成AIに対して企業が無策でいるという選択肢はもはやない。本レポートにおいてはCMOが自社の競争優位性獲得んおために推奨される生成AIに関する以下の4つの取り組みをまとめている。
・導入に向けた実験を開始する
経営層は、生成AIの可能性を直接体験し、その有用性を検討する必要がある。またCMOは、自社にとって価値あるアプリケーションを特定し、モデル実験を行い、革新的なユースケースを創出するよう、自らのチームに働きかけることが求められる。
・革新的な価値創出を追求する
CMOは生成AIが活用可能なユースケースを特定し、優先順位付けを行い、それらを取り入れることで自社の競争優位性の源泉とすることが求められる。例えば、知財(IP)に関するモデルをトレーニングし、自社の重要データ(マーケティングパフォーマンス、消費財、ブランド、市場調査に関するデータ)を活用し、微調整することで競合他社から差別化された価値創出が可能となる。
・全社的なモデルを確立する
自社ニーズに沿った生成AIモデルを構築し、企業全体に適したソリューションを確立することが重要だ。これによりCMOとそのチームは、業務プロセスの効率改善や、クライアントとのやりとりをパーソナライズすることが可能になり、型にはまらない新たな方法で顧客価値創出が可能になる。
・責任あるAIガイドラインを導入する
企業の「責任あるAI」への取り組みは、生成AIの倫理的・法的・技術的な側面に焦点化しながら進める必要がある。