BCG、イノベーション企業ランキングトップ50を発表
ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、最もイノベーションに優れた企業を発表する「Most Innovative Companies 2023: Reaching New Heights in Uncoertain Times」(以下、レポート)を発表した。
今回のレポートにへ、イノベーションに優れた企業を選出した「イノベーション企業ランキング トップ50」が掲載されている。ランキングは、世界の経営層約1000名を対象に実施したイノベーションに関するアンケート調査の結果と、TSR(株主総利回り)等に基づき、決定された。
日本企業ではソニー(31位)、日立製作所(33位)、NTT(47位)の計3社がランクインした。2022年はテクノロジー企業への逆風が強まったにも関わらず、トップ10のうち5社をテクノロジー企業が占める結果となった。また、エネルギー企業がトップ50に5社ランクインし、エネルギー企業が気候変動に対する創造的な解決策の一端を担う期待が反映された結果とみられる。
世界経済の不確実性は増しているにも関わらず、イノベーションは企業の最優先課題であり続けている。レポートによると、イノベーションを2023年の優先課題の上位3項目のひとつとして位置付けている企業は、調査対象企業の79%にのぼったことが記載されている。さらに、66%の企業がイノベーションに関する支出を増加させる予定であると回答し、うち42%が支出を10%以上増やす予定と回答したとしている。前回の景気後退期である2009年調査では、優先課題上位3項目にイノベーションを挙げた企業は3分の2以下であり、支出を増やす予定と回答した企業は58%に過ぎなかったことから考えると、大きな伸長が見られる。
レポートでは、不確実性が高まるなかにおいて、イノベーションを起こすために注力すべきことのひとつとしてM&Aを挙げている。調査によると、「イノベーションの準備ができている企業(持続可能なインパクトをもたらす製品やプロセス、ビジネスモデルのイノベーションを実現するための開発準備を整えている企業)」は、そうでない企業と比較し、M&Aを積極的に活用しているとした。新たな技術やプロセスへのアクセス、イノベーションを起こす能力を持つリーダーや従業員の獲得などを目的とするものだ。
また、AIはイノベーションの可能性を急速に広げている。調査によると61%の企業が2023年にAIと機械学習に投資すると回答。これは、投資対象の技術として2番目に回答が多かった項目である「ロボティクスとプロセスオートメーション」よりも15%高いポイントとなった。
AIに投資する企業の83%が、1つ以上のユースケースでイノベーションをサポートするためにAIを体系的に導入しているが、それをビジネスインパクトにつなげることができている企業は45%にとどまっている。これらの企業は他の企業の5倍以上のアイデアを創出し、2倍以上のMVP(Minimum Viable Product: 必要最低限の機能を備えた製品)を考案・開発している。AIの導入により、より多くのアイデアを生み出すことができ、アイデアが多いほどAIの最適な活用方法を見出せる可能性が高まる。先行する企業は、この好循環を生み出しているといえる。