[ベイン]2030年までに世界の高年齢労働者は1億5000万人以上に達すると予測
ベイン・アンド・カンパニーが実施したグローバル調査によると、55歳以上の世界の労働者数は2030年までに米国の全労働力人口と同等の1億5000万人に上ることが明らかになった。G7諸国では高年齢労働者の割合が2011年と比較して10ポイント程度上昇し、労働力人口全体の4分の1を占めると予測している。この傾向は高所得国で顕著であり、特に日本では55歳以上の労働者は2030年までに総労働力人口の40%近くに達すると見込まれる。今後の世界では、高年齢労働者も貴重な戦力になっている。本レポートでは企業が人材不足に対処し、職場文化改善の為、高齢労働者スキルと経験の活用方法について解説する。
米国においては、労働者の41%が65歳を超えても働くことを希望しており、30年前の12%を大きく上回る結果となった。日本においては定年退職年齢の引き上げに対応するため、いったん退職したのち、賃金を下げ、新たな契約で再雇用する企業も存在する。
ベインが19か国40,000人の労働者を対象に実施した「労働者が仕事に求めるもの」に関する調査によると、年齢を重ねるにつれ優先順位が変化することが明らかになった。60歳以上の標準的な労働者は自律性と柔軟性があり、面白いと思える仕事であるかどうかを最重要視している。退職年齢に近づくにつれ、パートタイムや自営業の割合が増加するが、これは仕事への関与が少なくなるということではない。また、高年齢の労働者は会社への忠誠心が高く、仕事や生活に満足している傾向がある。一方、経験豊富な労働者の移り変わるニーズを認識できている企業はほとんどない。
以下で高年齢労働者を引き付け続ける3つのアプローチを紹介する。
1.高年齢労働者のモチベーションを理解する
先進国の標準的労働者は、60歳前後を境に主なモチベーションが「報酬」から「仕事の面白さ」「自律性」「柔軟性」へと大幅に変化する
2.今後10年を見越したスキルの再習得
55~64歳の労働者の22%は、スキル向上の必要性を感じている
3.高年齢労働者の強みを尊重し、力を発揮できる場を提供する
後進が技術を習得するためのメンターとしての役割を与えることで、職場全体に良い影響を与えるといった事例が考えられる