アクセンチュア最新調査:アプリケーションの相互運用性を高めることで、企業の収益成長率は6倍に向上
アクセンチュアは、「Value Untangled: Accelerating radical grouwth through interoperability(解き放たれる価値:相互運用性が抜本的な成長をもたらす)」の作成に当たり、日本を含む23か国19業界の経営幹部4,000名越を対象に調査を行った。この調査によると、アプリケーション間で円滑にデータなどがやり取りされる「相互運用性」が高い企業は、不確実性に対処しうる高い俊敏性を有し、優れた財務業績を達成しているととが明らかになった。こうした企業は全調査対象の34%を占め、相互運用性の低い企業と比較すると2021年の業績において6倍の速さで収益成長を遂げている。また、今後の年間収益成長率を5%高める可能性がある。
相互運用性が高い企業は、低い企業に比べて収益成長率が上がるのみでなく、価値創出を支える様々な領域においても優位性を示した。例えば、サプライチェーンやオペレーションの改善度合いにおいては12ポイント、顧客体験の再創造の度合いは16ポイント、それぞれ高い結果を示した。
今回の調査によると、相互運用性の高い企業はアプリケーションに対するIT関連予算を2~4%増加させるだけで、収益成長率の向上を実現していることが分かった。同時に、既存のITスタック内で同等あるいはそれ以上の多様なアプリケーションを運用していることもわかっている。現在、多くの企業は500以上のアプリケーションを運用するが、82%の企業は「今後アプリケーションの追加を予定している」としている。こうした中、優れた成果を収める企業は高い相互運用性を確保することをビジネス戦略とテクノロジー戦略の中心に据えている。
本レポートでは、企業が相互運用性を高めるために必要な3つの取り組みを提言している。
一つ目はクラウドの活用だ。ここで重要なのは複数のアプリケーションにおけるデータや体験内容をクラウド上で一貫して管理し、組織全体が単一の指標に基づき運用できるように構築することである。
二つ目はコンポーザブルテクノロジーの導入だ。コンポーザブルテクノロジーとは変化するビジネスニーズに応じてコンポーネントの組み換えや再構築を迅速かつ反復的に行うことができるソリューションを指す。企業はコンポーザブルテクノロジーを導入することで組織の根幹に柔軟性を備えることができ、創造的破壊に対してより迅速かつ安価に効果的な変革推進が可能になる。このためにはシステムが他のリソースに依存せず性的に機能するテクノロジー構造から組み換え可能なコンポーネントで構成される構造に移行させる必要がある。
三つめは共通の目標に向けたコラボレーションの促進だ。相互運用性の高いアプリケーションの導入は成功要因の一つにすぎず、重要なのは相互運用が可能な環境の下で組織や従業員が共通の目標に向かって垣根なく緊密にコラボレーションすることである。コラボレーションを促進するためには経営幹部が主導し、相互運用性の高い新たなアプリケーションに関する多様なユースケースを作成し、部門の垣根を越えて従業員が一丸となり課題解決に取り組むことが必要だ。