「ポストコンサル」~今、企業が最も採用したい経営者人材~
今、「ポストコンサル」が、転職市場で大きな注目を集めています。
経営者人材を探す多くの企業が「ポストコンサル」の獲得にしのぎを削っています。
20代、30代という若さで経営者や事業責任者、幹部候補として活躍するポストコンサルが増加したことで、企業にその認知が広がったのが、ポストコンサルにスポットライトが当たるようになった一因でしょう。
たとえば、26歳でオイシックスを創業した高島宏平社長はマッキンゼー出身です。
同じく26歳でビービットを立ち上げた遠藤直紀社長もアクセンチュア出身。
ライフネット生命の岩瀬大輔社長は、BCGからRHJインターナショナルを経て、30歳で同社の設立に参画しています。
さらに、メディアに登場するような起業家のみならず、企業の重要なポジションで活躍するポストコンサルはたくさんいます。
このようなポストコンサルの活躍を受けて、多くの企業が、競うようにしてポストコンサルを採用し、経営の中枢に彼らを続々と迎えているのです。
一方、若くして企業経営に携わることができる「ポストコンサル」は、仕事内容と報酬の両面で魅力的なキャリアとして、優秀なビジネスパーソンから高い人気を誇るようになっています。
本コラムでは、企業とビジネスパーソン双方からの注目を一身に集めるキャリア「ポストコンサル」についてご紹介します。
若くして活躍するポストコンサル著名人
- 岩瀬大輔(ライフネット生命 代表取締役社長兼COO)BCG→RHJインターナショナル出身
- 遠藤直紀(ビービット 代表取締役)アクセンチュア出身
- 荻原英吾氏(日清食品ホールディングス アジア総代表):A.T.カーニー出身
- 加藤智久氏(レアジョブ 代表取締役会長):モニターグループ出身
- 仮屋薗聡一氏(グロービスキャピタル マネージングパートナー、日本ベンチャーキャピタル協会会長):三菱UFJリサーチ&コンサルティング出身
- 小沼大地氏(NPO法人クロスフィールズ 共同創業者、代表理事):マッキンゼー出身
- 高島宏平(オイシックス/ごちまる 代表取締役社長、NPO法人 TABLE FOR TWO 理事):マッキンゼー出身
- 高橋理志氏(VOYAGIN/エンターテイメント・キック 代表取締役CEO):A.T.カーニー出身
- 中竹竜二氏(日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター、著述家):三菱総研出身
- 前田佳宏氏(リンカーズ 代表取締役CEO&ファウンダー):野村総研出身
- 水留浩一氏(あきんどスシロー 代表取締役社長CEO):アクセンチュア→ローランド・ベルガー→日本航空(副社長)等出身
- 村崎直子氏(クロール 日本支社代表):ベイン・アンドカンパニー出身
- 谷中修吾氏(まちてん 総合プロデューサー、Velvet & Company 代表):PwCストラテジー出身
- 吉松 徹郎(アイスタイル 代表取締役社長兼CEO):アクセンチュア出身
ポストコンサルとは?
若いうちから経営ポジションに就くことが出来たり、高額な報酬を得られたり、企業がその採用を競ったりするほど高く評価される「ポストコンサル」とは、一体どのようなキャリアなのでしょうか。
ポストコンサルとは、コンサルティングファームやシンクタンクでコンサルティング業務を行ってきた「コンサルタント経験者」を指します。
具体的には、マッキンゼーやBCGなどに代表される戦略系コンサル、総合系ファーム、シンクタンク、組織人事系コンサル、業務・IT系コンサル、財務系コンサル(FAS)など、様々な領域のコンサルティングファームの出身者がいます。
ポストコンサルは、コンサルタントとして、様々な業界の企業を対象に、経営者視点で専門領域の「問題解決」を数多く経験してきています。
このような経験を積むことで、ポストコンサルは、固有の業界や企業に縛られない“汎用的”な問題解決能力を身につけてきています。
また、クライアント企業の組織や人、場合によってはクライアント以外のステークホルダーも巻き込んで動かすということも、コンサルタントは若いうちから経験しています。
この経験の中で、組織を動かす「リーダーシップ」を磨いてきています。
この「汎用的な問題解決能力」と「リーダーシップ」を若くして培ってきている点が評価され、様々な業界の企業から経営者人材として高い注目を浴びているのです。
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ポストコンサルのキャリアの変遷
ポストコンサルのキャリアは、時代環境の変遷と表裏一体の関係にあります。
時系列で概観すると、ポストコンサルの転職動向が見えてきます。
(1)ポストコンサル黎明期
まず、コンサルティングファームが日本に上陸してから2004年頃まで、ポストコンサルの転職先として圧倒的多数を占めていたのが外資系事業会社です。
もともと外資系事業会社は中途採用に積極的で、ポストコンサルを受け容れる土壌がありました。
加えて、力さえあれば上位ポジションを狙うチャンスがあり、日系事業会社に比べて給与水準が高いことから、外資系事業会社がポストコンサルにとって魅力的な転職先となったと言えます。
その後、2004年~2008年の5年間は、ポストコンサルの転職先としてPEファンドが注目の的になりました。
ファンドビジネスが一気に成長したことが、ポストコンサルの積極採用につながりました。
ポストコンサルにとっては、コンサルティングスキルを活かしながら、株主という立場で経営に参画できるファンドの環境は非常に魅力的です。
担当事業が成功すればキャリーボーナスで大きな収入を得られることも、ポストコンサルを引き付けたと言えます。
(2)ターニングポイントとなったリーマンショック
しかしながら、2008年のリーマンショックで状況は一変しました。
投資銀行やPEファンドが大打撃を受け、金融機関のポストコンサル採用は大幅に縮小されたのです。
一方、そのような状況をものともせず、著しく躍進していたのが、ヘルスケア業界とネット業界です。
高齢化社会を背景としてヘルスケア業界は着実に伸び、ますます高度化する情報機器、新しいビジネスモデル、進化するWebマーケティング手法によりネット業界も成長を続けました。
ポストコンサルのキャリアとして、ネット系企業が注目され始めたのもこの頃です。
(3)多様化しはじめたポストコンサル転職
2011年以降、リーマンショックから立ち直った企業によって、事業拡大のための積極的な採用活動が再開しはじめました。
あわせて、経営者や事業責任者、幹部候補として活躍するポストコンサルが増加したことで、高いポジションと報酬を用意して「ポストコンサル」を積極的に採用する企業が急増しました。
これに伴って、ポストコンサルの転職先は急速に多様化しはじめました。
ヘルスケア業界を含む外資系企業が引き続き、積極的にポストコンサルを幹部採用している状況に変わりはありませんが、現在では新卒採用中心だった大手日系企業がポストコンサル採用に積極的に乗り出している点が興味深い動きです。
とりわけ、グローバルに活躍できる人材を求める総合商社と一部の優良メーカーのポストコンサル採用が目立ちます。
総合商社は、比較的給与が高いためにコンサルからの年収ダウン幅が小さく、ポストコンサルに人気の転職先です。
大手日系企業に入って活躍するためには、新卒中心のカルチャーへうまく溶け込めることが大きなポイントになります。
また、中途採用者の扱いに慣れておらず、中途採用者を外様扱いする会社も多いので、その点は注意が必要です。
一方、ポストコンサルの転職先として急速に拡大しているのが、ネット系企業です。
業界全体が成長していることから、高いポジションが増えており、年収面での魅力も大変高くなってきています。
また、ネットビジネスのスキルと経験を積めることは、後のキャリアでも有利となることから、大きな注目を集めています。
加えて、オーナー系企業へのポストコンサル転職も伸びを見せています。
オーナー系事業では、経営者の事業承継から2世・3世の右腕となる人材を求めており、「オーナー一族の持つ経営基盤やネットワークを活用して事業経営に参画したい」と考えるポストコンサルタントと高い親和性をもつことが主たる理由です。
他にも、リーマンショック以後、採用を抑えていた外資系投資銀行の復活により、投資銀行やPEファンドで活躍するといったキャリアの人気も再燃しています。
忘れられがちですが、有力なオプションとなるのが、コンサルティングファームへの転職です(コンサル to コンサル)。
コンサルから事業会社に飛び出したものの、年齢的な若さから経営ポジションにつけない方もいます。
その場合、一スタッフとなるよりは、コンサルティング業界に在籍して引き続き経営目線で仕事をしたほうが良い面もあります。
また、ファームを移籍することで収入が高くなったり、ワークライフバランスが改善されたりすることもあり、焦って業界外に飛び出すよりも、業界内での移籍の方が適しているケースも多々あります。
起業というキャリアも注目です。
コンサルを卒業して起業したいという相談や、起業するにはコンサル後にどのようなキャリアを積めばよいかという相談が増えています。
低コストで起業できるネットビジネスの発達が、起業へのハードルを著しく下げ、この傾向を後押ししています。
「国や地域をより良くしていきたい」と社会起業家を目指すコンサルタントの方からの相談もあります。
昨今、ポストコンサルの中でも社会貢献系のキャリアへの注目度が高まっており、今後の展開が興味深い領域となっています。
最新のポストコンサルのネクストキャリア~今後注目される8つの道
このように、「ポストコンサル」は時代のニーズにあわせて、非常に広範なキャリアを選択できるキャリアとなっており、その活躍の場はますます広がっています。
最新のネクストキャリアについては、下記の記事をご覧下さい。
著者/監修者
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