女性からの人気が急上昇!~コンサル転職が注目される3つの理由
女性にとってキャリアと結婚や出産、育児などのライフイベントの両立は悩ましい問題です。この記事では意外と知られていない「女性にとってのコンサルタントキャリア」のメリットと、実態についてお伝えします。
2021年「出生時育児休業(男性版産休)」を新たに設ける改正育児・介護休業法が可決され、女性に偏りがちな家事・育児への男性の参加を促す機運が高まってきています。ジェンダーに左右されないキャリア構築がニューノーマルになりつつあり、女性がより活躍できる社会の実現に向けて、社会も企業も変わり始めています。
とはいえ、女性がキャリアを考えたときに結婚や出産、育児などのライフイベントと仕事の両立はまだまだ悩ましい問題であることも確かです。
この記事では「自身の人生を主体的に選択していくためのキャリア形成」がしやすいと言われ、年々人気が上がっている「女性にとってのコンサルタントキャリア」のメリットと、実態についてお伝えします。
女性にとっての「コンサルキャリア」のメリットとは?
「多忙だから、結婚や出産はあきらめないといけないのではないか?」
「男性社会だから、女性は働きにくかったり、評価されづらかったりするのでは?」
上記のような理由で、興味はありつつもコンサルティング業界を敬遠する女性もいらっしゃるかもしれません。確かに以前のコンサルティング業界は非常にハードワークで、ライフイベントを大切にしつつ働くうえでは苦労の多い業界でした。しかし、最近では多くのファームが女性の参画を熱望しており、女性コンサルタントの採用、育成、そして継続的なキャリアアップに本気で取り組み、就労環境は大きく変化しています。
女性がコンサルタントになると得られる主なメリットは、「自由度の高いキャリアを手に入れられる」、「対話が重視される組織が多く働きやすい」、「女性ならではの知見が社会課題解決の仕事に活かせる」といった3点にあります。以下、それぞれについて詳細にみていきましょう。
メリット1:自由度の高いキャリアを手に入れられる
「コンサルタントは忙しいので、結婚や出産を考えると不安です」と、コンサルタントになることに尻込みしてしまい、福利厚生の整った日本の大企業に就職を志望する女性は少なくありません。
しかし、自分で職種を選ぶことが難しい総合職や、年功序列の風土が残る大企業での数年と、コンサルティング業界で経験する数年では身につくスキルに大きな差があります。
コンサルタントは、さまざまな業界・企業に対して、経営者視点で問題解決に携わります。また、クライアント企業の組織や様々なステークホルダーを巻き込んで動かすということも、日々行うことになります。そのため、固有の業界や企業に縛られない「汎用性の高い問題解決能力」と、様々なステークホルダーをリードする「高いコミュニケーション能力」が身につきます。
このような能力からコンサルティング業界の出身者は、転職市場で高い評価を受けており、他のコンサルティングファームやシンクタンクはもちろんのこと、様々な業界の企業の経営幹部・幹部候補として引く手あまたとなっています。
育児や介護などのプライベートの事情により、現職を離職せざるを得ないことがあっても、コンサル経験者であれば転職や再就職がしやすく、プロフェッショナルとして満足のいく転職ができる可能性が大きく向上します。
また、転職市場での評価が高い人であれば、プライベートの事情に配慮した柔軟な勤務形態を検討してもらえる可能性もあります。実際、コンサルタントや公認会計士の方が時短勤務を前提にしながらも、年収をあげつつ転職するといったケースは珍しいことではないのです。
さらに、産休育休のあとに在職企業へ復職する際も、コンサルティングファームのほうが戻りやすい場合があります。
一般的な事業企業では、部署や役職者ごとの数に上限があり、産育休の長さによっては席が埋まってしまったからと、降格や別部署への異動を余儀なくされる可能性があります。
対して、コンサルティングファームではプロジェクト単位で仕事をしているため、基本的に職階ごとの人員数の制限はありません。所属部署に人員数の枠がないという点は、復職を考える女性にとって決して小さくなはない要素となるでしょう。
メリット2: 対話が重視される組織が多く、実は働きやすい
コンサルタントと聞くと「Up or Out(昇進するか、退職か)」という社風、社内の人たちはロジカルで冷徹というイメージがあるかもしれませんが、実際はそうではありません。
コンサルタントの仕事は、クライアントに解決策を示して終わりというわけではなく、クライアントの悩みに寄り添い、共創しながら実行支援を伴走していく必要があります。
そのため、コンサルタントは「ロジック」の中に「ハート」を組み合わせて丁寧に対話することに長けています。プロジェクトに関する相談はもちろんのこと、働き方や労働時間に関する悩みなどについても一緒に解決しようとしてくれる上司や仲間に囲まれて仕事ができることが多いでしょう。
メリット3:女性ならではの知見が社会課題解決の仕事に活かせる
コンサルティングファームの仕事は企業支援だけではありません。途上国でのODA関連プロジェクトなど、政府や国際機関をクライアントとするパブリックセクターの案件も多数あります。また、近年では企業もSDGsを掲げてサステナビリティの観点を経営に取り組む必要性が高まっています。
企業がSDGsやESGへの対応を求められる中、コンサルティングファームでは社会課題解決に関するプロジェクトが増加しています。福祉、教育、まちづくり、ジェンダー平等などの案件は、女性視点での問題提起と解決策の提示が必要不可欠であり、優秀な女性の参画を熱望するファームが増えています。
女性の場合、結婚・出産・育児など自身のプライベートで感じた不合理や不満・不便を原点にそれを社会全体の仕組みとして解決する仕事に出会えることは、コンサルティング業界ならではと言えるでしょう。「ライフワークとなる仕事と出会い、社会課題解決に尽力したい」という想いを持つ方にとって、コンサルティング業界は魅力的なキャリアとなっています。
コンサルタントのワークライフバランスの実態
コンサルタントに対してのイメージというと忙しくて、寝ることもできないような労働環境だと想像する方も多いですが、実態はやや異なります。
他業界以上に人財が重要なコンサルティング業界だからこそ、長期間在籍してもらえるようにと、どのファームも様々な福利厚生制度やトレーニングプログラムを設け、1人ひとりのコンサルタントのワークライフバランスやキャリア形成を手厚く支援しています。
特に、各自のスキルアップがコンサルティングサービスのクオリティに直結するため、驚くほど充実したトレーニング制度を設けているファームが少なくありません。
また、ワークスタイルに関しても非常に柔軟性が高く、メリハリのある勤務体制があります。大手コンサルティングファームではプロジェクト単位、かつ、シングルアサインで仕事をすることが一般的です。事業会社では1週間単位の休暇はめったに取れないと思いますが、コンサルティングファームではプロジェクトが終わると、まとまった休暇を取ることができるのも魅力のひとつと言えるでしょう。
例えば、マッキンゼーでは通常の有給休暇に加え、プロジェクトとプロジェクトの間に数週間の休暇を理由申請なしで取ることができ、憧れの海外で過ごす経験を積んだり、趣味に没頭したりできる「Take time program」という制度があるなど、各ファームはコンサルタントの働きやすさとスキルアップのために様々な工夫をしています。
▼主要ファームのキャリア制度例
マッキンゼー・アンド・カンパニー | Pace制度(パートタイム)、Take time制度(ライフスタイルに合わせた計画的な短期休職)、Ramp Off, Ramp On制度(産休育休前後に段階的に復職する制度) |
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ボストンコンサルティンググループ | FlexLEave制度(社外での活動を目的として数か月計画的に休む制度)やFlexTime制度(パートタイム)などあり。 |
ベイン・アンド・カンパニー | 多様な働き方をサポートする制度として、長期休暇や勤務日数・時間調整などの制度が整っている。 |
A.T.カーニー | MBAや留学、官公庁や企業への出向などのキャリア開発制度のほか、多様な働き方を支援するための制度も充実しており、時短やリモートワークも可能。育児休暇は男性社員の数か月単位の取得実績もあり、サバティカル制度も整っている。 |
アクセンチュア | キャリアカウンセラー制度(社員1人ひとりのキャリア構築をサポートするキャリアカウンセラーがつく制度)他、女性をはじめとする多様な人材がそれぞれのワークスタイルに合わせて活躍できる環境の実現を推進している。 |
日本アイ・ビー・エム | ダイバーシティ・インクルージョンの先進企業として、女性・障がい者・LGBTQをはじめとする多様な人材が活躍できる環境を推進。20年前からリモート環境によるワークスタイルを推奨し、運営のノウハウがある。 |
アビームコンサルティング | 中長期的なキャリア形成を支援するカウンセリング制度他、学業や社会貢献活動を理由とする自己研鑽を目的とした休職制度もある。 |
※掲載されている情報は主要ファームのキャリア制度の一部です。
参考:『新版 コンサル業界大研究』(産学社)
コンコードエグゼクティブグループ/コンサルティングファーム研究会 著
コンサル出身者だからこそ叶えやすいワークライフバランス
広がるコンサル業界の採用門戸
ここ10年ほどで、コンサルティング業界は業容が急拡大しており、コンサル未経験者も含めて積極的に採用が行われています。
大企業の既存事業の先行きが不透明な現代において、新規事業開発やM&A戦略、海外進出などのテーマでコンサルティングファームへの依頼が増えていました。さらに、コロナ禍によってデジタルトランスフォーメーション(DX)需要が急拡大し、デジタル関連のプロジェクトが急増しました。また、いよいよ多くの企業がSDGsやESGへの対応を加速していく必要があり、これらの案件数も増加しています。
※参考:コンサルティング業界の動向
クライアントからの依頼が急増する中で、コンサルティングファームでは従来の採用基準とは異なる年齢層、学歴、職歴の候補者も、積極的に採用しています。
とくに、女性の比率が男性に比べ圧倒的に少なかったファームではクライアントへの多角的な提案と実行支援のために、女性を積極的に採用し、育成に力を入れています。
未経験者からコンサルタントになる方へのトレーニングも充実しており、女性にとって、今はコンサルタントになるには絶好のチャンスといえる市況です。
女性だから、男性だからという性別でカテゴリを分けてキャリアについて考えるのはナンセンスかもしれません。しかし、現在の社会ではまだまだ女性のほうが、キャリア形成にライフイベントの影響を受けやすい現状があります。
そのようなキャリア形成上の不安や悩みを持つ女性にとって、コンサルタントとしての経験は、キャリアの自由度を広げることができる、とても心強いものとなるでしょう。
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著者/監修者
ビジネスリーダーのキャリア支援に豊富な実績を持つコンコードのコンテンツ編集チームです。独自のナレッジやキャリア設計法、転職市場の最新情報を、わかりやすくご紹介します。
「日本ヘッドハンター大賞」初代MVP受賞。著書『ビジネスエリートへのキャリア戦略』『未来をつくるキャリアの授業』は東京大学におけるキャリア設計の授業の教科書に選定。『新版 コンサル業界大研究』は東大生協本郷書籍部で第1位を獲得。