シンクタンクへの転職[徹底解説]
シンクタンクとは?
シンクタンクは、政府や企業などから委託された特定課題を検討し、政策や企業戦略のあり方を専門的立場から提案する機関です。
政治、経済、経営、科学など様々な領域の専門家が集まり、特定テーマについての研究・分析により蓄積した精度の高い情報や見識を持つ点に強みがあります。
英語の直訳から頭脳集団、またはシンクファクトリー(頭脳工場)とも呼ばれることもあります。
政府系シンクタンクと民間系シンクタンク
シンクタンクは、政府系の組織と民間系の組織に大別されます。
政府系シンクタンクは、省庁や日銀など政府系組織の傘下で、政策に関する調査・提言を行っている非営利の組織です。
政策決定過程において大きな役割を担います。
代表的な組織は、経済社会総合研究所、経済産業研究所、日本国際問題研究所、防衛研究所などがあります。
一方、民間系シンクタンクの多くは、純粋な研究を目的とする研究機関とは異なり、他のコンサルティングファームと同様、外部の民間企業や官公庁をクライアントとして、プロフェッショナルフィーを得てコンサルティングビジネスを展開しています。
特に、大手の民間系シンクタンクは、経営コンサルティング部門(戦略、業務、組織人事)、ITコンサルティング部門、官公庁向けのリサーチ部門(政策に関する調査・提言)、エコノミスト部門などを擁し、多岐にわたる業務領域をカバーしています。
シンクタンク系コンサルとは
「シンクタンク系コンサル」とは、民間系シンクタンクの経営コンサルティング部門・ITコンサルティング部門を指すことから、以下では主に民間のシンクタンクについて記載します。
シンクタンクの多くはメガバンクや大手証券会社などの大企業を親会社に持ちます。
そのため、大手企業グループのネットワークを活かした強力な営業チャネルを有することも大きな特徴のひとつとなっています。
また、近年は、日本企業の海外進出を支援するプロジェクトも増えており、海外戦略を専門とする部門を持つシンクタンクもあります。
代表的なシンクタンクには、三菱総合研究所、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、野村総合研究所、日本総研、NTTデータ経営研究所などがあります。
シンクタンクのポジション
シンクタンクでは、所属部門によってポジションの呼称が異なりますが、他のコンサルティングファームと同様に大きくは4つの職位から構成されていることが一般的です。下記は、呼称の一例となります。
・コンサルタント/準研究員
・シニアコンサルタント/研究員
・シニアマネージャー、マネージャー/副主任研究員
・プリンシパル、ディレクター/主任研究員
シンクタンクに求められる人材要件
シンクタンクの採用は、出身大学名と経験職種に基づいて検討される傾向があります。
コンサルティング未経験者については、有名大学出身者を中心に、20~30代前半の人を採用しています。大学院出身者を好むシンクタンクもあります。
経営コンサルティング部門で、採用されやすい人材の傾向としては、事業会社の経営企画部門、マーケティング部門、M&A部門、組織人事部門などの出身者が挙げられます。
コンサル経験者(ポストコンサル)については、様々なコンサルティングファームから積極的に採用しています。
前述した営業チャネルの魅力から、パートナークラスの移籍やチーム単位での移籍なども見られます。
シンクタンクの選考プロセス
選考プロセス1:書類選考
履歴書、職務経歴書による選考が行われます。志望動機書が求められることも多いのも特徴です。
シンクタンクの書類選考では、戦略系ファームと同様、いくつかの踏まえるべきポイントがあります。それらを押さえた書類を作成しなければ、優秀な人でも書類選考段階で不合格となることもあるため注意が必要です。
選考プロセス2:筆記試験
論理的思考能力を測る筆記試験を課されることがあります。適性検査においても、論理力や思考力が試せられるため、本来持っている力を十分に発揮するには、過去問や関連書籍を参考に対策をしてから試験に臨む必要があります。
選考プロセス3:面接
通常、4~5名の面接官と1対1の面接が行われます。
従来は職務経験や志望動機を中心とした面接が行われてきましたが、近年はケースインタビューを行うシンクタンクも増えてきています。
シンクタンク出身者のネクストキャリア
シンクタンクからの転職先には、どのような選択肢があるのでしょうか。
シンクタンクのコンサルティング部門出身者のネクストキャリアは、外資戦略ファームや総合系ファームと同様に、事業会社の幹部・幹部候補への転職、他のコンサルティングファームへの転職、起業など、多岐にわたります。
事業会社への転職では、ベンチャー企業、外資系事業会社、大手日系事業会社が主な転職先となり、経営企画部門、M&A部門、事業開発部門、マーケティング部門、人事部門などでの活躍が目立ちます。
他のコンサルティングファームへの転職では、その人の専門領域によって、戦略系、業務IT系、財務系、組織人事系など、幅広いオプションがあります。
また、強固な営業チャネルに支えられ、プロジェクトの営業をするパートナークラスに昇格した後も安定的に活躍しやすいため、シンクタンク内で長期的なキャリアを重ねる人も珍しくありません。
比較的若いうちから、営業する機会に恵まれるため、コンサルタントとして独立し、起業する人もいます。
その他、官公庁部門の出身者は、他のシンクタンクに移籍したり、大学教授に転身したりするケースがあります。
エコノミスト部門の出身者は、金融機関のアナリストに転身するケースもあります。