財務系コンサル・FASへの転職[徹底解説]
財務系コンサルティングファーム・FASとは?
財務系コンサルティングファーム・FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)は、企業の資金繰りや財務・税務のアドバイスをはじめ、M&A支援、企業価値評価、企業再生、係争分析など、財務に関する課題解決を幅広く支援するプロフェッショナルファームです。
B/S(バランスシート:貸借対照表)の改善ノウハウを豊富に持つことも、戦略系ファームにはない財務系ファームならではの特徴のひとつといえるでしょう。
また、企業の成長戦略としてM&Aが重視される中、財務系コンサル・FASが、企業戦略にもとづく買収候補先の選定、ビジネスデューデリジェンス、買収後の組織統合といったプロジェクトを行なう戦略コンサルティング部門を持つという動きも増えています。
財務系コンサルティングファーム・FASの代表的な企業としては、PwCアドバイザリー、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)、KPMG FAS、EYトランザクション・アドバイザリー・サービス(EYTAS)などが挙げられます。
これらのファームは、あらた監査法人、監査法人トーマツ、あずさ監査法人、新日本監査法人といった大手会計事務所のグループ企業です。
財務系コンサル・FASへの転職で求められる人材要件
金融機関や事業会社の財務部門の出身者を中心に採用する傾向があります。
具体的には、20~30代前半を中心に、投資銀行やM&A会社の出身者、事業会社の財務部門やM&A部門の出身者、会計士、US-CPA資格保持者などがオファーを獲得しています。
また、戦略系コンサルや総合系コンサル、シンクタンク系コンサルなど、他のコンサルティングファーム出身者の採用も大幅に増えています。
クライアント企業のグローバル化に伴い、クロスボーダーのM&A案件が増加する中、英語力のある人材を求めるファームも増えています。
論理的思考やコミュニケーション力など、クライアントの課題解決に必要な素養は、他のコンサルタント職種と同様に重視されています。
財務系コンサル・FASの選考プロセス
選考プロセス1:書類選考
履歴書および職務経歴書によって選考が行われます。
財務系コンサルファーム/FASの書類選考では、財務・会計領域の経歴やスキルをクローズアップさせるなど、応募書類の全体構成からしっかりと練って作成していく必要があります。
特に、財務・会計領域の経験が少ない人は、志望動機書も作成し、M&Aをはじめとする当該領域に対して高い関心を持つことをしっかりと伝えた方が良いでしょう。
選考プロセス2:筆記試験
一般的に、筆記試験は課されていません。
ただし、一部のファームでは、財務分析能力を測る筆記試験を課すケースもあります。その場合、戦略系コンサルやシンクタンク系コンサルなどで課せられるような“地頭力を測る適性テスト”とは異なりますので注意が必要です。
選考プロセス3:面接
通常、4~5名の面接官と1対1の面接が行われます。志望理由や職務経験を尋ねる面接が中心となりますが、財務に関するスキルや知識を試されることもあります。
コンサルタントとしての適性と財務知識の両面を求められるため、高度な面接となります。
財務系コンサル・FAS出身者のネクストキャリア
財務系コンサルティングファーム/FAS出身者のネクストキャリアでは、事業会社の幹部・幹部候補への転職、PEファンド・投資銀行などの金融機関への転職、他のコンサルティングファームへの転職などが見られます。
事業会社への転職では、外資系事業会社、大手日系事業会社、ベンチャー企業が主な転職先となり、経営企画部門、M&A部門、財務部門の中核メンバーとしての活躍が目立ちます。
また、プロジェクトで培ったM&Aに関する知識や財務分析のスキルを活かして、PEファンドへ転職する人が多いのも特徴的です。
他のコンサルティングファームへの転職では、戦略系、総合系、シンクタンク系など、実に幅広いオプションがあります。
最近では、中堅・中小企業のM&A案件が増える中、当該領域でのブティックファームを立ち上げられる人が増加しています。
様々な領域のプロジェクトを担当する戦略系コンサルと異なり、財務系コンサル/FASは、特定領域のプロジェクト経験を積み重ねていくことができます。
そのため、高い専門スキルを身に付けやすく、同一ファーム内で長期間活躍する人も珍しくありません。