内定を勝ち取る選考対策とは
キャリア戦略を設計して、応募先が決まった後は、いよいよ勝負どころとなる「選考」を迎えます。
「採用企業は実力を見て、ちゃんと評価してくれるはずだ」と考えている方がいらっしゃいますが、果たしてそうでしょうか。
実際の転職活動では、身につけておかなければいけないスキルがあります。
これを知らないと、素晴らしい実力や経歴があっても、あっさり選考に落ちることも起こり得ます。
一方で、良いポジションに内定して入ることができれば、価値ある経験を積めて成長できて、飛躍的に年収も上がる、それによって次もいい転職機会に恵まれる――というように、転職の合否によって人生は大きく変わります。
本記事では、No.1合格率を誇るコンコードエグゼクティブグループが持つオリジナルメソッドの一端をご紹介します。
なぜ実力があっても、書類選考・面接で落ち続けるのか?
先日、30代半ばの男性がご相談にいらっしゃいました。
他の人材紹介会社経由で応募したコンサルティングファーム4社すべてが、書類選考でNGとなってしまったそうです。
出身大学や在籍企業での実績を聞いてみると、素晴らしいご経歴です。
応募先のコンサルティングファームにもフィットする経歴で、問題なく通過しそうでした。
確かに書類選考は運の要素もありますが、4社全滅というのは理解しがたいことです。
そこで、応募書類を確認してみると、なんとメモ書きのような職務経歴書で応募されていたのです。
実は、このような事例は珍しくはありません。
特に、優秀な方の中には「自分には実力があるから、当然、応募先企業に採用してもらえるだろう」と気軽に応募される方がいらっしゃいます。
しかし実際の転職活動においては、身につけておかなければいけないスキルがあり、抑えておくべき準備があるのです。
実力があっても、これらの「選考対策」をしておかないと、書類選考・面接に落ち続けてしまいます。
コンコードへ相談にいらっしゃった方の多くは、履歴書や職務経歴書を書き直し、志望動機書を練り直します。
面接に際しても、どのように伝えるかについて整理します。
面接の場で緊張して失敗しないように、面接の練習も行いますし、何度も練習することもあります。
ここで行なっていることは、その方の魅力を等身大以上にアピールできるようにするということではありません。
応募者の経歴・人物を〝誤解の無いように〟〝わかりやすく〟説明するということに目的があります。
さらに、多くのコンサルティングファームでは「ケース面接(ケースインタビュー)」が課せられますので、その対策も行ないます。
ケース面接とは、特定のビジネスシチュエーションを想定して、面接官とディスカッションが行なわれる面接です。
特殊な面接のため、コンサルタント適性が高い方でも、初見では要領が掴めずに落ちてしまうことが多いのです。
これは、優秀な人材を採用したいと考えているコンサルティングファームにとっても、勿体ないことです。
実際、私たちの会社へ相談に来られる前に、ケース面接で落ちてしまった方が、私たち経由で受けた著名なコンサルティングファームでパートナー、ディレクターとして大活躍されているという例は多数あります。
一流のビジネスパーソンは〝準備〟をする
「書類応募や面接に対策が必要なの?」と驚かれた方もいるかも知れません。
しかし考えてみれば、ビジネスの場においてしっかりと準備をしたり、練習をしたりすることは、当たり前のことです。
自社製品を売る営業マンも、資金調達に奔走する起業家も、魅力を適切にわかりやすく伝える資料を練り込み、想定問答に対する回答も考えておきます。
さらに、ロールプレイングで練習も行ないます。
むしろ、このような〝準備〟ができない人は、一流のビジネスパーソンとは見なされないでしょう。
ましてや転職における選考は、キャリアがかかった大勝負ですし、コンサルティングファームはとても人気の高い業界です。
外資戦略コンサルティングファームであれば、0.5~1%とも言われる超難関です。
選考対策が必要不可欠となります。
実際、コンサルティングファームに限らず人気企業のほとんどが、そのようなポイントを押さえていないと、選考においてNGとしています。
相手に考えさせる負荷を押しつけるのではなく、自分の魅力・実力をわかりやすく誤解のないように伝える努力をできる人材が、人気企業から求められているのです。
先のご相談者も、私たちと一緒に履歴書や職務経歴書を編集し直して、落ちた会社へ再応募しました。
なんと4社すべてで書類が通過して、見事に第一希望のコンサルティングファームから内定を勝ち取られ、ご入社されました。
注目すべきは、応募者の方の実力や経歴は何も変化していないのにも関わらず、「書類選考NG」という結果と「内定」という結果に分かれるということです。
そして、この合否によって後のキャリアが大きく変わっていくことを考えると、「選考対策」の重要性をお分かり頂けるかと思います。
このように人生に大きな影響を与える選考対策ですが、大型資格取得のような膨大な時間と労力がかかるわけでは、全くありません。
その意味で、選考対策はとても費用対効果が高い準備ともいえるでしょう。
書類選考対策は、相手の気持ちや立場を想像することが鍵
選考における最初の関門は、書類選考となります。
前述のように、実力そのものが同じであったとしても、書類の書き方ひとつで合否が分かれてしまうのが実態です。
しかし、たいへん重要な割に、誤解の多いスキルでもあります。
例えば、転職に関する一般的な書籍では、「職務経歴書に自分の挙げてきた実績を具体的な数字で書け」と謳われています。
この常識は、コンサルティングファームへキャリアチェンジをする場合には、当てはまりません。
メーカーの営業職からコンサルティングファームへ応募する場合、「A商品をX億円売り上げた」と書いても、「うちに入社したら、A商品の営業をするわけではないんだよね。この実績に何の価値があるの?」となってしまいます。
問題解決能力を重視するコンサルティングファームとしては、業務の中でどのように問題解決してきたのかということを知りたいと考えています。
「A商品をX億円売り上げた」と実績を記述するのではなく、「顧客分析を通じてセグメント別の施策を打ち立て、営業部門の販売戦略を再構築した結果、X億円の売上げを実現した」と表現すれば、「問題解決能力が高い人材だ」と判断されるでしょう。
コミュニケーションする上で、相手の気持ちや立場を想像してから伝えることは、とても大切なことです。
それと同様に、応募先企業や面接官が「どのように理解されるだろうか」と、相手の気持ちや立場をよく想像してから、応募書類を作成することが書類選考対策の鍵となります。
筆記試験対策は、良い問題を〝手を動かして〟練習する
続いての関門は、筆記試験です。
コンサルティングファームの選考では、適性を確認するために筆記試験が課されることがあります。
筆記試験を突破できなければ、面接を受けることすらできません。
人気企業では筆記試験だけで10倍を超える倍率となることもあります。
しかも、東大卒・京大卒といった、試験に強い名門大の出身者が殺到しているという状況です。
そのような筆記試験に丸腰で向かうのは危険です。
これも考えてみれば当然なのですが、司法試験や公認会計士試験を受験するのに、対策を何もしないという方はまずいません。
おそらく出題傾向などを綿密に把握して、練習問題で慣れてから受験するはずです。
同様に、転職においても、しかるべき対策をしておく必要があります。
試験本番の制限時間がある中で、久しぶりに試験問題を解こうとすると、予想以上に解けずに焦る方も多いようです。
本来の実力を発揮できるようにするためには、練習が必要です。
良い問題を〝手を動かして〟練習することが、筆記試験対策では大切です。
ケース面接は「ディスカッションパートナー」としての適性が確認される
最後の関門は、面接です。
面接は、職歴・人物・志望理由などを確認する「通常面接」と、ディスカッションを行なう「ケース面接(ケースインタビュー)」と、候補者からの質問に対応する「質疑応答」から構成されます。
通常面接対策
志望理由の説明ひとつをとっても、練習なしに臨むのは難しいものです。
応募先企業にとって納得感のあるロジックでストーリーを組み立てることはもちろん、自分の話が受け手にどのようなインパクトを与えているのか、他者からフィードバックをもらってブラッシュアップしておくことも非常に重要です。
また、面接の場ではどうしても緊張してしましますので、失敗しないように、実践形式で練習しておくことも欠かせません。
ただし、面接で等身大以上にアピールしても、ベテランの面接官からは見抜かれてしまいますし、入社した後に互いに不幸になります。
あくまで自分の経歴・人物を〝誤解の無いように〟〝わかりやすく〟説明するということが大切です。
ケース面接対策
多くのコンサルティングファームでは、ケース面接を課せられます。
ケース面接(ケースインタビュー)は、特定のビジネスシチュエーションを想定して、面接官とディスカッションが行なわれる面接です。
先述の通り、特殊な面接であるため、コンサルタント適性が高い方でも、要領が掴めずに落ちてしまうことが多いので注意が必要です。
例えば、「新幹線の中のコーヒーの売上げを伸ばすには?」といった売上げ拡大施策の提案や「ソニーのCEOだったらどうする?」といった経営課題に関する提案を求められたら、面接の場で的確に答えられるでしょうか。
ケース面接の事例をはじめて見た方であれば、どのように答えるべきかピンと来ない方も多いと思います。
また、とても良いアイデアだったとしても、論理的でないと相手に受け入れられません。
以下のような展開で失敗してしまう例もよく見られます。
面接官「新幹線の中のコーヒーの売上げを伸ばすには、どうすれば良いと考えますか?」
応募者「○○をすると良いと思います。」
面接官「なぜ、そう考えるのですか?」
応募者「うーん。××だと思うからです。」
面接官「なぜ、そう思うのですか?」
応募者「うーーーん。」
このようにケース面接では、優秀なビジネスパーソンにとっても、決して容易に回答できないような設問が投げかけられます。
初見では途方に暮れてしまいますよね。
そもそも、この禅問答のような面接は何のために行なわれているのでしょうか?
実は、ケース面接突破の鍵は、この「そもそもケース面接では何を見られているのか?」を適切に把握することにあるのです。
ケース面接では、「ディスカッションパートナー」としての適性が確認されています。
ケース面接では、頭の回転の速さ、ロジックツリーや3C、4Pなどのフレームワーク活用スキルばかりが見られるわけではない点に注意が必要です。
知力のみならず、問題解決に対する姿勢、協働するマインドなどが、全人格的に見られていますので、その点を踏まえて実践形式の対策を行なうことが大切です。
質疑応答
面接の最後に、応募者からの質問・疑問に対して、面接官が回答する「質疑応答」が行なわれます。
この質疑応答の時間を軽視している応募者の方も多いのですが、注意が必要です。
入社後に想定と違ったということがないようにしっかりと確認すべきことを事前に整理しておきましょう。
また、難関のケース面接も終わった後で、少しほっとしたタイミングで行なわれることもあり、応募者の価値観や本音を確認しやすい時間でもあります。
その意味でも、面接官はこの時間を大切にしています。
当然のことですが、応募者の仕事に対する姿勢はこの時間でも見られますので、注意が必要です。
お気軽にご相談ください
以上のとおり、面接対策はコンサルティングファームにチャレンジする方にとって、合否を分ける重要な準備となっています。
ただし、資格取得のような膨大な時間と労力がかかるわけではありませんので、ご安心ください。
コンコードでは、書類対策・筆記試験対策・面接対策を一貫してサポートし、ご相談者の豊かなキャリアの実現に伴走しています。
お気軽にご相談ください。
一橋大学商学部卒業。三和総合研究所 戦略コンサルティング部門を経て、コンコードエグゼクティブグループを設立。
「日本ヘッドハンター大賞」初代MVPを受賞。2017年に東京大学で開講されたキャリア設計の正規科目「キャリア・マーケットデザイン」のコースディレクターとして、全体企画から講義までを担当するなど学生へのキャリア教育活動を積極的に行っている。
著書の『ビジネスエリートへのキャリア戦略』(ダイヤモンド社刊)、『未来をつくるキャリアの授業』(日本経済新聞出版社刊)は東京大学での授業の教科書に選定された。『新版 コンサル業界大研究』(産学社刊)は東京大学生協本郷書籍部でランキング第1位を獲得。